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電力小売り自由化 支出見直すきっかけに


電力小売りが4月から全面自由化され、家庭でも電力会社を選べるようになります。新規参入する新電力会社の事前予約も始まり、売り込み合戦が繰り広げられています。選択肢は広がりますが、どう選べばいいか戸惑う人も少なくありません。選ぶポイントをまとめてみました。

●各社のプラン比較自分に合った電力会社を選ぼう!(イラスト)

電力小売りは2000年から段階的に自由化され、4月には一般家庭やコンビニなど小規模店舗にも拡大されます。これまでは東京電力など全国10地域の電力会社が独占的に電気を供給してきましたが、今後は自由に選べるようになります。

電力小売りを行う企業は経済産業省に登録します。2月8日現在、ガス、石油、再生エネルギー発電、通信、住宅、鉄道など多分野から169社が登録しており、多彩なプランやサービスが登場しそうです。また従来の電力会社でも幅広いプラン設定が可能となりました。

とはいえ情報が多すぎて何を選べばいいか迷う人は少なくありません。カカクコムが運営する「価格.com」(kakaku.com)やエネチェンジ(enechange.jp)が各社のプランを比較できるサービスをネット上で提供しています。

価格.comは、郵便番号▽世帯人数▽昼間の在宅状況▽現在の電気使用量などを入力すれば、節約額の多い順にプランが表示されます。過去実績を元に算出したシミュレーションで、今後、出産や結婚など変化があれば結果も異なってきますが、目安にはなります。

最大の注目ポイントは電気料金がどの程度安くなるかです。カカクコムが昨秋行った調査では、利用者の9割は「料金が高い」と感じ、8割は「安くなるなら乗り換えを検討したい」とする。目安は「10%以上」が6割を占めています。

電力会社を選ぶ夫婦(イラスト)●省エネ派、恩恵薄く

新電力の料金プランをみると、標準的家庭(40アンペア・月間使用量290キロワット時)で最大7%程度の値下げは期待できそう。ただし、電気料金は使用量が多いほど単価が高まる段階制であるため、使用量が多いほどメリットは大きいが、逆に単身者や省エネに努めた家庭など、使用量が少ないほど恩恵は少なく、かえって高くなることもあります。また、長期契約ほど割安ですが、引っ越しなどで途中解約すると解約金が発生することもあります。

自由化の狙いの一つは競争を通じた料金引き下げにありますが、先行した英国やドイツでは逆に2倍程度値上がりしました。資源高騰や再生可能エネルギー買い取り費用が増えたことが要因ですが、将来は必ずしも値下げをもたらすわけでもない点は留意しておきたいことです。

見直しのポイントは、(1)家計(2)家族構成(3)地域貢献や環境重視――の三つの軸から考えてはいかがでしょう。

家計重視派なら、まず何に支出が多いのかをチェックしましょう。光熱費は東京ガスなどガス会社が、スマホなど通信費ならKDDI(au)やソフトバンクがセット割引プランを提供しています。食費が多いなら、スーパーマーケットの特典などがある「スマ電」(アイ・グリッド・ソリューションズ)などのプランもあります。

家族構成からはどうでしょう。単身者でコンビニ利用が多いならローソンなどで共通ポイントをためるプランがあります。夫婦共働きなら中部電力などが家事代行などのサービスも提供しています。大家族で車利用が多いなら、JXエネルギーなど石油元売りのガソリン割引もあります。

地域貢献や環境重視型はまだ多くはありませんが、今後注目される可能性があります。地域で発電した電力を地域で使う地産地消の新電力は福岡県みやま市と地元企業の「みやまスマートエネルギー」など各地で動き出しています。東京都世田谷区のベンチャー「みんな電力」など再生エネ供給を目指す新電力もある。40超のNPOなどが連携した「パワーシフト・キャンペーン」(power-shift.org/)はこうした新電力の情報を公開しています。

●電気の質は同じ

一般に誤解が多いのですが、電気はどの電力会社から買っても質は同じです。各地の発電所で作られた電気は送電線で混ざり合い区別はありません。

それでも再生エネなど電源特性をうたうプランは設定できます。電力会社は発電所から電気を買い、家庭などに売っているため「買った電気をそのまま供給している」とみなせるためです。ただし、こうしたプランはその根拠をきちんと説明する必要があります。

同様に、新電力が停電になりやすくなったり、供給が不安定になったりすることはありません。地域の電力会社が不足分を補う仕組みになっているためです。新電力が倒産や事業撤退した場合は、別の電力会社と契約する必要がありますが、20年3月までは地域電力会社からの供給が保証されています。

自由化されるといっても、特に手続きをしなければ、今までどおり地域電力会社から電力供給されます。慌てることはありません。


◇電力小売り自由化Q&A
新電力に切り替える際の疑問点をまとめました。

Q 切り替えに必要な手続きは?
A 新電力との手続きだけでいいのです。現在の地域電力会社への連絡は不要です。電気はこれまで通りの電線・設備を使って送られるため、新たに電線を引く工事も必要ありません。原則として「スマートメーター」を設置することになりますが、通常、工事に立ち会う必要はなく費用負担も発生しません。スマートメーターは通信機能のある新型の電力量計で、2020年代早期までに全世帯に導入されますが、新電力に切り替えた人から優先的に取り付けます。

Q マンションでも新電力を選べる?
A 基本的には選べますが、管理組合を通じてマンション全体で一括購入契約を結んでいる場合は制限があります。わからなければ管理組合に問い合わせて見てください。

Q 新電力と契約した後、別の電力会社に乗り換える場合は?
A 契約によっては解約時に解約金が発生する可能性があります。契約時に条件を確認しましょう。電力会社には料金や解約条件を書面で説明する義務があり、不当に高額な解約金の設定は制限されています。

Q トラブルがあったらどうするか。
A 国が設置した「電力取引監視等委員会」が利用者相談にも応じます。国民生活センターによると、太陽光発電システムや蓄電機器の勧誘など便乗商法の相談が既に寄せられているそうです。


◇契約はここをチェック

(1)国の登録を受けた「小売電気事業者」か
・経済産業省のサイトや専用ダイヤル(電話0570・028・555)で確認できます。

(2)契約の内容をきちんと確認したか
ポイントは
・料金はどれくらい、どうやって算定するか
・いつからいつまでか、満了後の更改手続きは
・契約期間中の制約はあるか、解約金は発生するか
です

(3)停電など困ったときの連絡先は
契約のトラブルなどの相談窓口は
・最寄りの消費生活センター(電話188)
・電力取引監視等委員会(電話03・3501・5725)


毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2016年3月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。