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求めるのは『仲間』『共感』


企業を選ぶ際、安定性や収入よりも、仕事のやりがいや職場との一体感などを重視する傾向が学生の間に強まっています。ここ10年でキャリア教育が浸透したことも背景にありそうです。企業側も学生の「共感」をいかに引き出すかが問われています。

「採用のための活動はしていません。これは仲間を見つける旅です」。東京都の結婚式場運営会社が3月下旬、横浜市のパシフィコ横浜で開いた会社説明会。詰めかけた2000人の学生を前に社長が語りかけました。面接より面談(イラスト)

●「面接より面談」

ブライダル会社ならではのドラマチックな演出の中、ウエディングプランナーの若手女性社員や社長らが、人の心を満たすサービスや、もてなしへの熱い思いを伝えています。「サービスとは何かに触れました。働く喜びが伝わってきました」。参加した東京都内の私立大学の女子学生は感慨深げでした。

毎年約4万人ものエントリーを集める人気企業ですが、採用の軸は「人に会う」がテーマです。書類選考や面接で400人に絞り込んだうえで、さまざまな部署の社員と何度も顔を合わせてもらうことで、ともに働く仲間としての共感を重視しているそうです。採用担当者は「面接より面談。会社をじっくり知ってもらい、学生の側から選ばれたいです」と話しています。

●「本物」と交流

美術館や博物館を会場に、世界的なクリエーターや起業家と未来のイノベーションを語り合う――。東京に本社がある大手外資系コンサルティングは今春から、型破りな会社説明会を開いています。東京・乃木坂の国立新美術館で3月開いたイベントでは、コマーシャル分野などで活躍する方らトップランナーが、学生らと「デジタルの未来」をテーマに交流しました。

先進的なイベントには、従来にない柔軟な発想を持つ人材を引き寄せる狙いがあります。同時にやる気のある人材には、ポジションの提供や資金援助するなど充実したキャリア制度をアピールしています。社長は「会社を開放し、自己実現のために使ってもらいます」と語っておられます。

●自己成長を重視企業スタッフの話を聞く就職活動中の学生(イラスト)

人気企業が「心に響く」採用活動に力を注ぐのは、収入や安定性、待遇面の充実などよりも、やりがいや働く仲間との一体感など職場環境を重視する傾向が、学生の間に強まっていることがあります。

リクルートキャリアの調査によると、学生が企業を選ぶ際に重視する条件は、就活が進むにつれ「一緒に働きたいと思える人がいるかどうか」が伸びていくといいます。「自己成長や働き方を重視する傾向が強まっていることが背景にあります」。

企業にとっても、採用しても職場でなじめず早期離職されればかえって採用コストが膨らむことになります。「共感採用」は学生・企業の双方にとってプラスというわけです。

「アイデアがあったらやります。それがうちのカルチャー。一度遊びに来てみない?」。東京・六本木のビルで3月開かれたベンチャー企業10社の新3年生向け就活イベントの、各ブースでは学生らが企業スタッフの話に耳を傾けていました。

企画した、東京に本社がある人材サービス会社は2012年から転職支援のビジネス型ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を始め、今年2月からは学生向けインターンシップ情報も提供しています。イベントはその「リアル版」というわけです。

同社のサービスで人と仕事を結びつける核となるのは「やりがい」や「働く環境」です。企業に関心を持てば「話を聞きに行く」ボタンを押してエントリーし「オフィスに遊びに行く」感覚で会社や働く人と語り合うことができます。ハードルの低さもあって利用者は月40万人に成長しています。

「いかに情熱を持って働けるか。就活の意識は確実に変わりつつあります」。この会社の最高経営責任者(CEO)の言葉です。


毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2015年5月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。