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「食事ガイド」で死亡率を減らしましょう


国が作成したイラスト付き「食事バランスガイド」に沿った食事をしている人ほど、死亡率が低いことが国立がん研究センターなどの調査で分かりました。一方、配偶者を失った人は男女とも、脳卒中の発症リスクが高まるそうです。食べ物だけでなく、家族関係の変化も健康に大きく影響しそうです。

日本食は健康に良い!?(イラスト)●7項目の適正量を示しています

「食事バランスガイド」は農林水産省と厚生労働省が2005年、健康維持のため1日に何をどれだけ食べたらよいかを、コマの形のイラストを使って分かりやすく解説したものです。

(1)主食(ごはん、パンなど)(2)主菜(魚、肉、卵、豆類など)(3)副菜(野菜、キノコ類、海藻類など)(4)牛乳・乳製品(5)果物(6)菓子・嗜好(しこう)飲料(7)エネルギー量、の7項目で適正な目安量を示しています。いわばバランスのよい日本食のお手本です。(1)がコマのてっぺんで、もっとも摂取量が多く、以下(5)まで順に少なくなります。(6)はコマ回しのひもにあたります。

国立がん研究センターは1995〜98年、岩手▽長野▽東京▽長崎▽沖縄――など全国の男女約8万人(45〜74歳)を対象に食事の内容などを聞き、約15年間、追跡調査しました。対象者をバランスガイドの順守度合い(7項目で70点満点)で四つの得点グループに分け、死亡率に差が出るかどうか調べました。

その結果は今年3月に発表されました。一番得点の高いグループは一番低いグループに比べ、総死亡率は15%低く、脳梗塞(こうそく)や脳出血など脳血管疾患の死亡リスクは22%低くなっていました。

バランスガイドは栄養学的に望ましい食事のモデルを示すものですが、実際に死亡リスクを下げるかは分かっていませんでした。この調査結果に注目した海外メディアは「日本食は健康によい」とのニュースを世界に配信しました。

「バランスガイドに沿った食事を心がければ、たとえ栄養学的な専門知識がなくても一定程度、健康を維持できることを示しています」。データの解析にあたった専門家は、そう指摘しています。

主食にはさらに工夫の余地があります。玄米や雑穀など食物繊維に富んだ穀物を取り入れると、糖尿病や大腸がんといった生活習慣病の予防になることが各種疫学調査で分かっています。バランスガイドの主食に精製度の低い食品を加えれば理想的です。

バランスガイドに沿った食事を(イラスト)●脳卒中のリスクは1.3倍

一方、調査対象者のうち配偶者がいた約5万人を約15年間追跡したところ、2134人が脳卒中(脳梗塞と脳出血)を発症していました。この発症例を婚姻の変化で解析すると、配偶者を離婚か死別で失った人は、失っていない人に比べて脳卒中の発症リスクが約1.3倍も高くなりました。男女に差はありませんでした。

親との同居が脳卒中の発症リスクにどう影響するかを調べたところ、男性は配偶者を失っても親と同居していれば、発症リスクは上昇しませんが、女性は同居すれば逆にやや高くなる結果となりました。また夫と死別するなどした無職女性は、夫との離婚や死別のない有職女性に比べ、発症リスクは約3倍も高くなりました。

男性は配偶者を失っても、同居する親が配偶者の担っていた役割を果たしてくれるので、健康悪化が避けられるのでは、とみられています。

配偶者を失うと脳卒中の発症リスクが上がる背景については、生活習慣が変わって食事のバランスが悪くなり、飲酒量が増えることが考えられます。女性の場合は経済的な支えを失い、生活に不安を感じる影響も考えられます。家族の変化と脳卒中リスクの関係を調べた疫学調査は過去にありませんでした。健康の維持には、配偶者を失った人に周囲の人が気をつけることも重要なようです。


▽食事バランスガイドのポイント

・1日のエネルギー量2000〜2400キロカロリー
・主食5〜7SV(サービング)は米、パスタ、食パン、麺類を1日に五〜七つ食べること。1SVはご飯なら茶わん小盛り1杯、食パンは1枚、お握りは1個
・副菜5〜6SVは野菜、キノコ、芋類、煮豆、海藻類を5〜6皿(1皿70グラム)
・牛乳・乳製品の1SVの基準はカルシウム約100ミリグラム。2SVは牛乳なら200ミリリットル程度
・バランスガイドのコマを回すには、運動が必要
・菓子や飲料は食を楽しくする、コマ回しのヒモ


毎日新聞生活報道部

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