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マンションで災害に備えるには


大地震の際、マンションは建物が倒壊しなくても、受水槽やエレベーターなど設備やライフラインが被災して住民の生活が困難になることがありえます。被害を軽減するには住民が支援しあう共助の体制が必要となります。備えておくべきポイントは?

マンションを眺める住人達(イラスト)●防災専門委を設置しましょう

大地震時、マンションではどのような被害が想定されるのでしょうか?ある不動産コンサルタント会社のマンション管理コンサルタントは「一言でいえば、建物は壊れなくても住めなくなる可能性があります」と話しています。

1981年以降に建てられた新耐震基準に沿ったマンションは震度6強〜7程度でも倒壊しないよう設計されていて耐震性は高くなっています。ところが、ライフライン(水道・ガス・電気)の停止▽エレベーターや受水槽、機械式駐車場など設備の被害▽揺れによる家具の転倒――などで、通常の生活が困難になる可能性があります。

マンション管理業協会によると、2011年の東日本大震災では東北・関東(1都12県)のマンションで建物が大破する被害はほぼありませんでしたが、設備やライフラインの被害は多く報告されました。

国土交通省が13年度に実施した調査では大規模災害に対し「特に何もしていない」とする管理組合が29.2%ありました。マンション管理コンサルタントは「地震直後には、警察・消防、管理会社など外部の救助・支援がないことを前提に、共助で対応することが重要です」と強調しています。特に大規模マンションでは「防災専門委員会」を設置して、対策を練るようアドバイスしています。

多くの管理組合は理事を1〜2年の輪番にしており、防災担当者を決めても知識や経験が蓄積されず、いざというときに機能しにくいのです。

委員会は理事会の諮問機関として一定メンバーが定着したほうが望ましいとされます。情報連絡▽消火救助▽避難誘導▽救護▽物資――など役割分担を決めておくことも重要です。

消防法は50人以上のマンションに防火管理者設置を定めており、防災訓練を定期実施しているマンションは37.7%あります。ただし問題は中身です。避難誘導や消火訓練は定番ですが、「皆が避難するのを前提とするのは現実的ではない」との指摘があります。火災・倒壊の恐れがなく身の安全が確保されていれば建物にとどまるほうが安全なのです。逆に、皆が避難したら、家具の下敷きになり動けない住人や、高齢者や乳幼児ら要援護者が置き去りにされる危険があります。

災害発生時の対応を考える(イラスト)●安否確認に重点を

つまり、防災訓練は安否確認に重点を置くのがいいのです。階やブロックごとに集合場所を決め、安否確認できない住戸はドアをたたいて呼びかけ、必要に応じ救助・手当てを行います。

安否確認には、高齢者・要援護者や緊急連絡先などがわかる名簿を用意しておくことが前提となります。個人情報保護法で管理会社が名簿を提供するのは難しいため、管理組合が、災害時だけに使うことを確約して住人に任意提出を求めましょう。国交省の調査では8.3%がこうした名簿を作成しています。

訓練でもう一つ重要なのは、防災設備や備品をいざというときにきちんと取り扱えるか、理事会や委員会メンバーで確認し情報共有することです。例えば、地震発生でスプリンクラーが誤作動して回り続けた場合、管理会社に頼らず止められるようにしたいものです。エレベーター、受水槽、機械式駐車場、オートロック、防災設備などの取り扱い方法についてもぜひ確認しておきましょう。

防災用品なども同様です。東京都内で集中豪雨があった際、あるマンションでは浸水を防ぐ土のうを用意していたのに、深夜で管理会社と連絡が取れず、保管場所がわからずに何もできなかったというケースがありました。保管場所がわからなかったり、鍵がみつからず持ち出せなかったりすれば、宝の持ち腐れになります。

●避難所機能も想定しましょう

ここ十数年で1000棟が供給された超高層(20階以上)のタワーマンションはさらに特有の対応が必要となります。エレベーターが停止した場合、高層階の住人が階段で移動するのは体力的に負担が大きくなります。給水車が来ても、自宅まで水を運べない可能性があります。水や食料などを最低3日分は自室に準備しておくことが必要です。

地震時には、自宅での生活が困難な負傷者や要援護者、自宅に戻れない高層階の「マンション内帰宅困難者」などが出ることが想定されます。集会室などに避難所を設置し、非常電源で優先的な電力供給をするといった対策をあらかじめ検討しておく必要があります。

マンションの建物は耐震性が高いことため、外部の被災者や帰宅困難者の一時的な受け入れについても方針を決めておいたほうがいいでしょう。困っている人がいれば心情的に助けたくなりますが、「何人までは受け入れる」など、受け入れの方法を決めておかないと、善意がトラブルに発展する可能性もあるのです。

タワーマンションが多く建設されている東京都中央区によると、今後供給される大規模マンションでは災害時の帰宅困難者受け入れを想定しているものもあるそうです。タワーマンションが多く建設されている東京都中央区によると、今後供給される大規模マンションでは災害時の帰宅困難者受け入れを想定しているものもあるそうです。


毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2016年7月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。