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寒い?暑い? 電車の冷房


毎年、夏に話題になるのが電車の冷房温度。鉄道各社はさまざまな工夫で「お客様に快適な温度」を目指していますが、乗客からは「寒い」と「暑い」の両方の声が寄せられています。あなたは、どう感じますか?

電車の冷房温度は人によって感じ方が違います(イラスト)●首都圏私鉄は26度

首都圏の私鉄各線は、冷房温度を26度、弱冷房車を28度に設定しています。各社で話し合ってそろえたわけではなく「お客様の声や要望を聞き、自社で決定した結果」(西武鉄道)といいます。首都圏では各線の相互乗り入れが進んでおり、設定温度が同じであることは直通運転にも都合が良さそうです。JR東日本の設定温度は路線によって異なりますが、やはり弱冷房車を他の車両より2度高く設定しているそうです。

東京メトロは東日本大震災後の2011年4月下旬、節電対策として全車両の設定温度を28度に上げたところ、「暑すぎる」との苦情が殺到、同年7月から通常の設定温度に戻しました。「冷房だけでは節電は難しい。照明のLED化や制御装置の性能向上など車両全体で大幅な節電を目指し、快適な車内環境と省エネの両立を図りたい」と広報部の報道担当者は話しています。

●最新技術で調整

現在走っている車両のほとんどは、設定温度をコンピューターで自動制御し、新型の一部車両は最新技術でこまめに調整しています。▽床下の「空気ばね」で乗降を感知、混雑率に応じてエアコンの風量や送風機の運転を調節して空気を循環させ、車両内の温度の偏りをなくす(小田急電鉄)▽過去のデータから次の駅の乗車率を予測、到着前に車内を予冷する「予測制御」を行う(JR東日本)▽客室に熱線反射機能を持つガラスを採用、空調効果を高める(西武鉄道)――など、快適な車両を作り出すのに余念がありません。

しかし、「体感温度は外気温や窓越しの太陽光によっても違う。時期にかかわらず『暑い』と『寒い』、両方のご意見をいただいている」と小田急CSR広報部の担当者が指摘するように、乗客を100%満足させるのは難しそうです。

きちんと冷房対策を(イラスト)●体感に男女差

寒さを訴えるのは主に女性、暑いと感じているのは男性が多いようですが、人が快適に感じる温度に男女差はあるのでしょうか。東京女子医大東医療センター性差医療部(東京都荒川区)の片井みゆき准教授(内分泌学)は、「個人差はあるが、着衣での体感温度の男女差は『3度前後ある』というデータが多い」と話します。

体内で熱を作るのは筋肉の役目。寒いとき震えるのは「筋肉が自然に収縮して動き、熱を作ろうとしている状態」(片井准教授)だそうです。一般的に女性は男性より筋肉の量が少ないため「産熱量」も少なく、寒さを感じやすいということになります。熱を蓄えるのは脂肪の役割ですが、いったん「冷え」をため込んでしまうと、なかなか温まりにくい性質があります。脂肪は女性の方が多いのが一般的で、これも女性が冷えを感じやすい要因です。また、若い女性に増えている低体重(体格指数<BMI>18.5未満)の状態では、筋肉も脂肪も少ないため、熱を作ることも蓄えることもできず、冷えを訴えるケースが多くなるようです。

男女の体のつくりの違いと同様に、服装の差も見逃せません。クールビズが浸透してきたとはいえ、電車で通勤する男性の多くは襟元の詰まったシャツやジャケットを着ています。一方、薄着や首回りの開いた服で通勤・通学する女性は、電車内の天井のファンから吹いてくる冷風で肌が直接冷やされてしまいます。

筋肉や脂肪は急には増やせません。体内で熱を作るために必要なのは食事です。「特に炭水化物をきちんと取り、朝はおにぎり1個でもよいので食べる。朝食抜きでは熱を作れず、冷えに弱くなる」。電車での自衛策は「ストールなどを首に巻いて、上からの風を防ぐこと。首もとから裾まで空気が通り抜けるデザインのワンピースやチュニックブラウスなどは、ベルトをするだけでも感じる寒さが違ってくるはず」と片井准教授はアドバイスしています。


毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2016年9月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。