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抱っこひも最新事情


赤ちゃんがパパやママに「抱っこひも」で抱っこされているのは日常の風景です。でも、日本で一般的に使われるようになってから、実は30年ほどしかたっていません。抱っこひもにも流行があり、形も少しずつ変化しています。歴史と最新事情を探ってみました。

抱っこひもを試着する男性(イラスト)●祖父母も試着

この秋、東京都内で開かれた「ベビー・キッズ&マタニティショー2016」で、各メーカーの最新の抱っこひも20種類以上が展示されました。ベビーカーのシートにそのままセットできる抱っこひもや、ヒップシート(椅子)に早変わりするボディーバッグなど、タイプもさまざま。担当者に話を聞きながら試着できるとあって、乳児連れの若い夫婦やおなかの大きな女性の姿が目立ちました。

5カ月の長男と訪れた東京都杉並区の母親(29)は「今使っている抱っこひもは、子どもの足が窮屈そうなので買い替えを考えています。育児雑誌で見て気になって」と話し、ヒップシート付きの抱っこひもを試着しました。

これは、海外では珍しくないタイプで、腰ベルトの部分に軽量のヒップシートが付いており、赤ちゃんを座らせた姿勢で抱っこします。赤ちゃんの体重は太い腰ベルトと肩ひもで分散され、大人の体に負担がかかりにくい。また、赤ちゃんは自然にお座りした状態になるため、締め付けが少なく、足が自由に動くのも特徴です。

この製品が日本に本格的に輸入されるようになったのは昨年から。韓国製「アイエンジェル」を扱うアリーナ(福岡市博多区)の担当者は「抱き下ろしの安定感、肩や腰が楽なことを納得して購入してもらえるよう、試着のためのレンタルもしています。家でゆっくり、パパやおじいちゃん、おばあちゃんもつけてみて決めるご家庭も多いです」と話します。

●好みは二極化

昭和の日本のお母さんたちは、おんぶひもや帯を使って、赤ちゃんを背中で育てました。体の前で赤ちゃんと向き合う形の「抱っこひも」が広く普及したのは1986年ごろから。東京大大学院で「抱っこ」について研究する園田正世さん(49)によると、抱っこひもで赤ちゃんを抱く山口百恵さんの写真が女性週刊誌に掲載されたことがきっかけといいます。以降、おんぶひもは「胸の形が強調される」などの理由で徐々に敬遠され、抱っこひもが主流になりました。

園田さんは、抱っこひも・おんぶひも専門店「北極しろくま堂」(静岡市葵区)の経営者でもあります。最近の抱っこひもは、縦抱っこ▽横抱っこ▽おんぶ――など複数の抱き方ができる多機能の「ベビーキャリアー」が一般的になっていますが、一方で「より赤ちゃんと密着し一体感を得られる『へこおび』のような一枚布、スリングをあえて選ぶお母さんもいます。好みは二極化しています」と話します。ベルトや留め具がいくつも付いた多機能タイプに、煩わしさを感じる人もいるようです。

●5年周期で「流行」

また、抱っこひもにはおおむね5〜6年ほどの周期で「流行」があるといいます。近年では2004年ごろから、布製で袋状の「スリング」が流行。リュックサックのような肩ひもと腰の太いベルトが特徴の米国製「エルゴベビー」は10年ごろから急速に人気が高まり、普及しました。メーカー各社によると、現在では国内市場の約半数を外国製品が占めているといいます。

家事をする時は「おんぶ」がおすすめ!(イラスト)大手のコンビ(東京都台東区)によると、多機能タイプ▽腰抱きできるウエストポーチ形▽夏はメッシュタイプ――など1人の赤ちゃんに対して2、3個の抱っこひもを使い分けることも珍しくないそうです。「ここ数年、色は黒や紺が売れ筋。パパと兼用しても恥ずかしくない色が好まれているようです」と経営企画室の担当者は言います。

●おんぶ見直して

多機能の抱っこひもは、おんぶにも使えるタイプがほとんどです。でも「モニターの若いお母さんには、おんぶをしたことがない人が多い」(コンビ)そうです。赤ちゃんの落下防止ベルトが内側に付いた抱っこひもを発売したものの、「一人で装着するのが難しそう」と心配する人向けに、ホームページの動画で使い方を紹介しています。

「家事をしながらあやすときは、おんぶのほうが手元が見やすく安全。育児がもっと楽になるので、ぜひ挑戦してほしいです」(同)。最新の抱っこひもが、昭和の子育てが見直されるきっかけになるかもしれません。


毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2016年12月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。