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社内結婚 企業が後押し


社内結婚が多い企業は働きやすい?

社内恋愛(イラスト)今も昔も会社で出会って結婚するカップルは大勢いますが、社員同士の恋愛を応援する企業が出てきました。社内ランチ会や社内結婚手当の創設などの取り組みが、社員同士のコミュニケーションの活発化、働きやすさの向上、ひいては離職率の低下につながっているというのです。現場を取材しました。

●離職28%が4%に

IT企業「サイボウズ」(東京都中央区)で働くAさん(30)は、夫(29)と社内で出会い結婚しました。部署は異なりますが、Aさんは「上司に資料を出すときは夫に相談し、家で2人で作成する。違う視点が得られていい。会社がいろいろ事情を分かってくれるので働きやすい」と話します。

同社では、社員約360人のうち社内結婚したカップルは約40組に及びます。社内結婚が増え始めたのはここ10年ほどのことで、2005年時点では、結婚退職や転職などで4人に1人が会社を去り、離職率は28%にまでなっていました。

大事な社員が次々と辞めていく深刻な事態に危機感を持ち、会社はさまざまな働き方改革を実行しました。在宅勤務制度など働きやすい環境整備に力を入れる一方、社員同士のコミュニケーションを活発化させようと、部活動制度を設けました。部員が5人集まれば、会社が部費を出して活動を支援。現在は「フットサル部」など約30部あり、他部署の社員と交流を深められる場となっています。離職率は4%を切るまで減りました。

広報担当者は「世界一のソフトウエアを作るという目標があり、達成には人材が必要なのに辞めていく。一人一人が意欲的に働くにためは、働き方を見直す必要があった。働きやすい、働きがいのある会社になったから社内結婚が増えたのかもしれない。改革前は社内結婚の割合は低かった」と話してくれました。

●手当、交流の場提供

国立社会保障・人口問題研究所は昨年9月、「出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」(15年)の結果をまとめました。夫妻が出会ったきっかけを尋ねると、「友人・兄弟姉妹を通じて」(30.9%)に続いて「職場で」が28.1%と2位でした。1992年の調査では、職場と回答した人が35%でトップでした。結婚した2人が出会う場所は今も昔も職場が上位ですが、割合は減少傾向にあるようです。

ウェブ事業などを手がける「DYM」(東京都品川区)は、11年から「社内結婚したカップルには30万円」という社内結婚手当を導入しました。社内恋愛中の社員を応援しようと水谷佑毅社長が発案。社員同士の恋愛を応援することで、社内の結束力を高める狙いがあるそうです。社内結婚した女性は「結婚式の費用の足しになってありがたかった」といいます。

トヨタ自動車は「恋活プログラム奏(かなで)」を実施。グループ企業の独身社員を対象に、ランチ会や、話し方のコツを伝授するセミナーなど、さまざまな出会いの場を提供しています。広報担当者は「普段出会わない職場の人と交流することで、新たな仕事につながるケースがある。良い雰囲気を社内に醸成するのにも役立つ。プログラムを通じて結婚した社員もいる」と意義を強調しました。同社は昨年10月から、在宅勤務の対象者を「1歳未満の子供がいる社員」から、一定の勤続年数を経た総合職全体へと広げました。社内合コンはほんの一例で、今後も働きやすい職場環境づくりに取り組んでいく方針です。

プロポーズ(イラスト)●人柄わかる安心感

家電メーカー「ダイニチ工業」(新潟市)は、社内恋愛を推奨しているわけではありませんが、既婚の正社員337人のうち88人が社内結婚。運動会、相撲大会、社員旅行など社内行事が多く、運営は若手社員が担います。社内運動会がきっかけで結婚した20代の男性は「運動会では各組に応援団があり、応援合戦のためにダンスを考えたりする。若手が中心なので、同世代の交流が生まれやすかった」。30代の男性社員は「社外の人と知り合う機会が少ない。社内ならある程度人柄を分かっているので安心感があったし、会社の雰囲気として社内結婚がNGではないことが大きいと思う」と魅力を語ります。

「婚活」に関する著書が多数ある中央大の山田昌弘教授(社会学)は「同じ会社で共働きすると、一緒に転勤ができたり配偶者の都合を考慮してもらえたりするので、おのずと働きやすい環境になり、社員の定着率も良くなるのではないか。昔は結婚したら会社を去る女性が多かった。企業は社内結婚を応援することで、女性社員の定着を図っているのではないだろうか」と分析しました。


毎日新聞生活報道部

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