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住宅リフォームする前に


住宅リフォームをめぐるトラブルが後を絶ちません。高齢者を狙い必要のない工事を無理やり行う悪質商法が目立っています。また業者に悪意がなくとも、正しい設計や施工が行われない例もあります。どんな点に注意すべきなのでしょうか。

「外壁がはがれているとか、無料点検するとか、業者がひっきりなしにやってくる」。埼玉県の一戸建て住宅に夫婦で暮らす80代の女性は当惑気味に話します。

リフォーム業者の話を聞く主婦(イラスト)国民生活センターによると、住宅リフォームを巡る相談では、このケースのように突然家にやってくる訪問営業に関するものが目立ち、2015年度で6759件に上りました。築年数の古い一戸建て住宅に住む高齢者が狙われやすく、親が交わした契約を子が不審に思い相談する例もありました。

なぜトラブルが多いのでしょうか。建物の劣化や改修の必要性を調べる住宅診断最大手、さくら事務所(東京)の住宅診断士、山見陽一さんは「工事の内容や工法、材料が適切なのか、費用は妥当なのか、一般の人にとって判断が難しいため」と話します。例えば、屋根にひび割れがあった場合、ふき替えるべきなのか部分補修でいいのかわからない。耐震補強や床下防湿などについても同様です。

●不安あおり契約

そこに悪質業者がつけこみます。訪問営業で「このままでは家が傾く」などと不安をあおり、消費者が判断できないうちに契約をせかします。その場で金額を提示し、渋ったら「半額にします」などと根拠のない値引きをすることもあります。工事をせず逃げたり、見積書の内容よりグレードの低い工事をしたりするのも典型的な手口だそうです。

山見さんは「まず、訪問営業は断るのが無難」と言います。訪問営業というと、怖そうな押し売りタイプを連想しがちですが、実際の営業マンはたいてい好青年風で、身なりや言葉遣いもきちんとしています。トラブルにあった高齢者からは「親切にしてくれたから信用できると思った」という声も少なくありません。最初は少額工事で安心させ、その後、高額工事を提案してきたり、営業マンの上司や職人役が登場したりするなど、手の込んだ劇場型もあります。自分は大丈夫と過信せず、だますためのテクニックがあることを知っておいたほうがいいでしょう。断れずに契約してしまった場合も、8日間以内ならクーリングオフできます。消費生活センターへ相談しましょう。

●知識不足の業者も

問題は悪質業者ばかりではありません。山見さんは「技術や知識が乏しく、問題がある設計や施工をする業者がいる。悪意がないぶん深刻だ」と指摘します。請負代金500万円未満の「軽微な建設工事」は建設業許可が不要なため、リフォーム工事への参入が容易なことも背景にあります。

例えば耐震補強の場合、耐震診断を行い全体のバランスを考慮しなければなりませんが、浴室やキッチンなど内装工事のついでに一部の補強だけで済ませるケースがあります。屋根裏や床下に本来必要のない金物器具を取り付け、一見強くなったように見せる工事も少なくありません。床下防湿工事では、調湿材を敷き詰める手法がありますが、多湿地盤が原因であれば、換気設備を取り付けなければ解決しません。

見積もりで予算超過となった場合に「工事代金を抑える」という業者提案が結局は二重投資になる落とし穴もあります。「屋根は大丈夫なので、今回は外壁の塗り替えだけに」と提案され、その時点では負担が軽減されても、数年後に屋根ふき替えに足場を組み直すようなケースです。▽太陽光発電パネルを築20年以上の住宅に設置し、数年後に屋根ふき替えのためパネル脱着が必要になった▽マンションの設備機器交換工事で、給排水管はそのままにしたため、その後漏水が起きた――といった例もあります。

よく考えてリフォーム業者を選びましょう!(イラスト)●複数に見積もりを

こうした事態を防ぐにはどうすればいいでしょうか。ややハードルは高そうですが、業者任せではなく自主的な取り組みが必要です。まず、建物の状態を把握し、リフォームの目的を明確にします。工事は、複数の業者に見積もりを依頼し、提案内容を比較します。

もちろん専門家の助言も受けたいものです。地域により異なりますが、建築士会、自治体、NPOがリフォーム相談を行っている場合があります。国が指定する住まいに関する相談機関「住宅リフォーム・紛争処理支援センター」の「住まいるダイヤル(0570・016・100)」では建築士からトラブル相談や契約への助言を受けることができます。15年度のリフォームに関する消費者相談は9852件(前年度比6%増)で増加し続けています。

また、後で確認できるよう、打ち合わせや工事経過をできるだけ記録に残しましょう。業者との打ち合わせの内容は複写式シートで記録し、契約条件として工事写真を残すよう依頼しておくといいでしょう。


毎日新聞生活報道部

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