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水族館を楽しむ


うだるような暑さで、子どもを連れて歩くのもひと苦労。そんな夏休みこそ、水の生き物たちと気軽に合える水族館に出かけたいものです。水族館プロデューサーの新野大さんに同行し、より楽しむコツを伝授してもらいました。

水族館を楽しむ家族(イラスト)●狙い目は開館直後

「間もなく開館です」。東京都品川区の「しながわ水族館」入り口前で女性スタッフが高らかにオープンを知らせました。歓声を上げながら保育所と小学校の子どもたちが集まってきます。どうやら遠足らしいです。

いそいそとチケットを買って館内へ。足を一歩踏み入れると梅雨のまとわりつくような蒸し暑さから解放されます。まずは左側の「東京湾に注ぐ川」コーナーに行きました。滝の落ちる渓流もよく再現されています。イワナ、アメリカザリガニ、カルガモまでいるな……なんて思っていると、新野さんはどんどん先へ進んでいきます。ペンギンやマイワシの群れなどを横目に、地下のトンネル水槽へと一直線に向かいます。

「まだ餌のカスや魚の便がないから、水が本当にきれいですね」。到着した新野さんが、そうつぶやきながら全長22メートルのトンネルに入り「海の世界」を歩いていきます。頭上では、わずかに差し込む日光を背にウミガメやエイなど900匹がゆらり。まるでサファイアの中を泳いでいるようです。「水が澄んでいて水槽が一番きれいに見られるから、水族館は朝一番がいいんです。それに人が少ないと、生き物たちの方から寄ってきてくれることが多いんですよ」。人気のコーナーは混雑しがちだが、親子でゆったりと観察するなら、やはり開館した直後を狙ったほうがよいでしょう。

また給餌の時間を見逃さないよう、館内の案内やホームページでチェックしておきましょう。新野さんは「いつも下の方でじっとしている生き物が上がってくる姿を見られます。おっとりしているようで実は貪欲だったなど、魚の意外な性格が分かって楽しめます」と話しました。

トンネルを抜けると「ふれあい水槽」。ドクターフィッシュがいる水槽に手首まで入れてみました。角質を食べようと、あっという間に群がってきます。むずむず、こちょこちょ。元気な魚に触る体験は、子どもたちにとって貴重です。

ふとタツノオトシゴの前を通りかかった新野さんが声を上げました。「いつもは静かに泳いだり細いものに絡まったりしているのに、何匹も暴れている。何が起きているんだろう。こんなの初めて見ましたよ!」。水族館プロデューサーは、水族館の新規開館やリニューアルを手伝います。地域性からコンセプト、生き物の見せ方を考え、実際に魚を集める手配もします。そんな「水族館のプロ」が今も新たな驚きに出合うのだから、宿題の絵日記や自由研究のネタが見つかる格好のスポットかもしれません。

●裏方の魅力も

地下の奥で、イルカがいる水槽にたどり着きました。ところが水面近くにいて、なかなか下りてきません。「何かやってるな」。そう言って新野さんが1階に上がると、イルカは飼育員とアシカによるショーのトレーニングを眺めていたのです。「もちろんショーそのものは欠かせませんが、飼育員との交流やかわいい仕草はトレーニングならではの見どころです。帰り道に子どもは『大きくなったら水族館のスタッフになりたい』なんて言い出すかもしれませんよ」と新野さんは笑いました。

トレーニングが終わると、すぐ脇のアザラシ館へ。新野さんはリュックを下ろし、薄いピンクのハンカチを取り出しました。アザラシの顔の前で振ると、泳ぐのをやめてハンカチを見つめました。「イルカもそうですが、白を含めた明るい色を認識しやすく、よく反応してくれます。タオルをつかめれば乳児でもできるのでチャレンジしてほしいですね」

宿泊体験プログラム(イラスト)●多彩なイベント

夏季は各地の水族館でイベントが目白押しです。子どもがメインの宿泊体験プログラムはその代表格。新野さんは「参加者は夜の水族館に集まり、夜行性の生物を見て回ったり、水槽の前で寝袋を敷いて寝たりすることができます。ただし人気なので、各水族館のホームページで告知を調べる必要があります」と話します。

館内をくまなく回り、午前11時からのイルカショーも見終えた新野さん。「もう少し行ってきます」と言って戻っていきました。背中が「次の新しい発見は何だろうか」とわくわくしているようでした。


毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2017年8月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。