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働くリズムを整える


「明日からまた仕事か」。休日も夜になって終わりが近づくと、誰しもそう思ったことがあるでしょう。上手に時間を使って、体調を崩さずに暮らしたいものです。

ブルーマンデーの女性(イラスト)●サザエさん症候群

メディアに「サザエさん症候群」が登場するようになって、かれこれ25年以上になります。国民的テレビアニメの放送時間になぞらえた、日曜日の夕方になると翌日からの会社や学校を思い浮かべて憂鬱になってしまう現象。「ブルーマンデー」ともいいます。

「誰だって日曜夕方に気分が沈んで当たり前。正面から向き合って、生活を見直してみるべきでしょう」と語るのは、石黒クリニック(岐阜市)の石黒源之(もとゆき)院長です。臨床医としての37年にわたる経験と多様な文献を基にして、著書「『正しい時間の使い方』が、あなたの健康をすべて左右する」にまとめました。「どうしても仕事の段取りを無意識に考えてしまったり、予想される心配事に頭を悩ませたりしてプレッシャーを感じる時間。予定を無理に入れず、意識してリラックスする工夫をしてほしいものです」

●月曜日は危険集中

石黒さんがそう勧めるのは理由があります。「1週間という周期で見ると、月曜日に危険が集中しています」。例えば心筋梗塞(こうそく)。「脳梗塞もそうですが、月曜日の発症率が高いことを示す論文が国内外に数々あります。実際に現場で計860人分の心筋梗塞を分析してみると、月曜日の朝に発症した事例が最も多かったのです」。別の研究でも、24時間測定器で血圧の変化を見ると、やはり月曜日の朝に上昇する結果になりました。石黒さんは「真面目で仕事も熱心な、責任感の強いタイプが患いやすいものです。逆に、休日の日曜日を思いきり楽しめる人はリスクが低くなる傾向があります」と解説します。

さらに人工透析を受けている人も、月曜日に亡くなるケースが多いです。人工透析は、機能が低下した腎臓の代わりに機械に血液を通し、老廃物や不要な水分などを除去して浄化する治療法。糖尿病の合併症として起こる腎不全は増え続けており、日本透析医学会によると、透析を長期間必要としている患者は2015年末で約32万5000人に上りました。1990年末に初めて10万人を超えてから、25年間で3倍以上に増えています。

本来であれば透析は隔日が望ましいですが、週末が休みの病院は「月・水・金」と曜日を固定しがちです。透析を2日間できないと、月曜日には患者の体内に水分やカリウム、尿毒素がたまって負担が膨らんでいます。石黒さんは「世界各地の人工透析患者を調査したデータで、透析の間隔を2日以上空けた後は死亡するリスクが高まっていることが明らかになっています」と指摘します。「月・水・金」の透析スケジュールを組まれた患者の死亡率は、月曜日が20%以上と他の曜日に比べて突出しています。「最近は休まず、1日おきのシフトで透析を受けられる病院が出てきたので、調べて選択肢に加えてみてください」

スケジュールの調整(イラスト)●スケジュールも工夫

自殺にも注意したいものです。厚生労働省の自殺死亡統計(直近は05年)によると、自殺者数のピークは月曜日で、週末に近づくにつれて減っていく傾向があります。ちなみに男女とも自殺しやすい時間帯は午前5〜6時。年度をまたいで環境が変わる3〜5月に自殺者が増えます。石黒さんは「とにかく月曜をどう楽に乗り切るか。特にストレスのかかる仕事や大事な商談は、月曜を避け、木曜か金曜にスケジュールを組むといいでしょう。心を病みがちな人は、日曜の夜から月曜にかけて独りだけにしないこと」と呼びかけます。

もちろん生活のリズムは、人間が作り出した「週間」だけではありません。昼と夜を繰り返す「日間」、月が地球の周囲をほぼ1周する「月間」、地球が太陽の周囲を1周する「年間」もあります。石黒さんは「1日の時間帯、それに季節によっても発症しやすい病気があります。まったく同じことをするにしても、健康や体調に及ぼす影響には大きな差があることを知ってほしいものです」と話しています。

◇時期で分かる「なりやすい病気」
A型肝炎       3〜4月
緊張性頭痛      3〜4、10〜11月
片頭痛        3〜5月
痛風発作       4〜5月
めまい        5、11月
はしか        6月
風疹         6月
手足口病       7〜9月
ヘルパンギーナ    7〜9月
尿路結石       7〜9月
偽痛風        8〜9月
帯状疱疹(ほうしん) 8〜9月
くも膜下出血     10〜11月
心筋梗塞・心停止   12〜1月
肺炎         1〜2月
脳出血        1〜3月


毎日新聞生活報道部

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