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防災食を食卓へ


「防災食」として購入した缶詰などを日々の献立で消費し、定期的に買い替える「ローリングストック」の考えが浸透してきました。長期保存可能な食品も近年、新商品が続々登場。東日本大震災後に購入した非常用食品がそろそろ賞味期限を迎え、需要が高まっています。

いろいろな防災食(イラスト)「このサバの水煮缶、どう料理すればいい?」「缶の汁ごとみそ汁に入れると、あら汁風になっておいしいですよ」

先月、東京都新宿区で行われたイベント「暮らしに寄り添う保存食」で、全国の郷土食や保存食を集めた「保存食マーケット」が開かれました。缶詰やレトルト食品のほか、水で戻すだけで食べられる磯辺もちや賞味期限1年の焼いたアジの干物、特定アレルゲン27品目不使用のカレーなど最新の非常食が並びました。訪れた人は担当者に、缶詰の調理法などを熱心に質問していました。

イベントを主催したリビングデザインセンターOZONEの木村聡子さんは「乾物や塩漬けなど日本の伝統食と、災害時に備える非常食。どちらも保存食として、『いつも』『もしも』の両面で使えることを紹介したかった」と狙いを話します。

●短期間で買い替え

一般社団法人防災安全協会の北村博常任理事によると、防災用の非常食とされるのは賞味期限が3年以上のものです。ただ、一般家庭では、スーパーの棚などにあるレトルトや缶詰を購入して保管し、1年程度で食べて新しい商品に買い替えていく「ローリングストック」の考え方が浸透しつつあるといいます。「非常食と名の付いた食品をわざわざ買いそろえず、普段なじみのある賞味期限1年程度の食品を『食べながら備える』のは一つの方法です」

一方で、自治体や企業、学校など大量の備蓄を必要とする組織では、入れ替えの手間や予算の問題から、5年程度の長期保存が可能な食品を備蓄するケースが多いです。北村さんは「レトルトも技術が進み、賞味期限が6年先、7年先の商品も出てきた。震災後に購入した食品が賞味期限を迎えた企業や団体は多く、買い替え需要が高まっています」と説明しました。

●使い勝手も進化おいしい!防災食(イラスト)

非常食、防災食と呼ばれる食品の主流は乾パンからビスケット、お湯で戻すアルファ米、水なしで食べられるレトルトのご飯やおかずへと形を変えてきました。数日間食べ続けることになっても飽きないように和食、洋食、中華からデザートまで種類も豊富。賞味期限だけでなく使い勝手やパッケージデザインなど、年々進化しています。

レトルト食品「HOZONHOZON(ホゾンホゾン)防災シリーズ」は5年間保存が可能で、水も調理も皿も不要。パッケージ下部にスプーンが付いており、手で開けて袋のまま食べられます。種類は「鯛(たい)出汁(だし)入り高級粥(がゆ)」「牛肉のしぐれ煮」など40あり、子ども用もそろいます。価格は1食152〜648円です。

パッケージデザインにはアートディレクターの吉水卓さんを起用しました。企画した横浜岡田屋は「地味な防災食のイメージをなくすため、カラフルでかわいいイラストにこだわりました。つらいときも食欲がわき、明るく元気になれるようにとの願いを込めました」と話します。

昨年発売された「イザメシキャリーボックス」は、「トロトロねぎの塩麹(こうじ)チキン」などレトルト食品8食と紙皿、紙スプーンが入った紙製の箱。肩にかけられるひも付きで持ち運びしやすく、箱は簡易テーブルとしても使えます。販売する杉田エースの担当者は「食事を作る時間がない、体調が悪くて買い物に出かけられない、といった日常的な『イザ』というときの『メシ』として活用できます。ピクニックにも持っていってほしいです」と話します。5400円です。

●期限過信しないで

「12年保存」をうたう水など、長期保存食は数多く出回っていますが「賞味期限は過信しないほうがいい」と、専門家はアドバイスします。高温、多湿など保存する環境が良くなければ、中身が劣化することもあるからです。

実際に「賞味期限5年」と表示されたパンの缶詰を3年目に開けたところ、カビが生えていたケースもあったといいます。長期保存が可能な食品も「食べない備蓄食」としてしまいこんでおくのではなく、たまにはおいしく食べるのがよさそうですね。


毎日新聞生活報道部

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