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粉ミルクが人気


粉ミルクを飲む昔の赤ちゃん(イラスト)粉ミルクといえば赤ちゃんが飲むのが一般的ですが、不足しがちな栄養素を補うため大人向けの商品が出ています。シニア世代を中心に売れ行きは好調といい、メーカーは増産に乗り出しています。高齢化が進む中、健康志向の高まりが背景にあるとみられています。

●消費者の声、参考に

東京都新宿区の龍生堂薬局東新宿店。大人向けの粉ミルクが目立つように並んでいます。「買っていくのは、ほとんどが中年以上の女性。当初に予想したよりも売れています」。店長はこう話し、「あくまでも栄養補給。普段の食生活で取り切れない部分が少し強化されています」と言いました。

各社も販売に乗り出しています。雪印ビーンスターク(東京)は昨年9月、「プラチナミルク」(希望小売価格2592円)を発売。ミルク味と抹茶ミルク味、ポタージュ風味の3種類をそろえました。売れ行きは好調で、10月から増産しています。

なぜ、大人向けなのでしょう。乳幼児用の粉ミルクを製造・販売している雪印ビーンスタークには「大人の自分が飲んでいる」という声や「粉ミルクは大人が飲んでもいい?」という問い合わせが常にあったといいます。調査したところ、「総合的に栄養をとれるから」などの理由で乳幼児用の粉ミルクを大人が利用していることが分かり、ビタミンなどの栄養素を大人向けに配合した商品を開発しました。

雪印ビーンスタークによると、主なターゲットは60代以上。ドラッグストアやオンラインショップで販売しており、当初計画の2倍以上の売れ行きだそうです。ミルク味はそのまま溶かして飲むだけではなく、料理や青汁などに混ぜて使うことも提案しています。

ミルク味をお湯で溶かして飲んでいる東京都世田谷区の女性(71)は「牛乳や乳製品があまり好きではないけれど、体が丈夫ではなく食が細いので使っている。亡き父が晩年、赤ちゃんは粉ミルクを飲んで大きくなるんだから大人が飲んでもいいはずだと言って、ベビーミルクを飲んでいたことを思い出しました」と話しました。

粉ミルクを飲む現代の大人(イラスト)●栄養バランス良く

通信販売限定で扱っているのは森永乳業(東京)。一昨年「ミルク生活」(3679円)を発売しました。牛乳が苦手な人でも飲みやすい、さっぱりした味わいで、ほのかな甘みがあるそうです。昨秋から増産しており、発売当初に比べると最近の売り上げは約5倍になっているといいます。

乳幼児用の粉ミルクと何が違うのでしょう。シニア世代の健康志向の高まりを受け、森永乳業は独自の機能性食品素材であるビフィズス菌、乳酸菌、ラクトフェリンのほか、カルシウム、鉄、中鎖脂肪酸を配合しました。「大人に必要な栄養成分をバランス良く摂取できるようにしています」(広報部)

商品の開発に際して「大人が育児用の粉ミルクを飲んでいる理由を把握するのが難しかったです。実際にお客様の声を聞くと、栄養バランスがいいことや安心感などが背景にあることが分かりました」(広報部)。購入者の多くは50〜70代の女性。男女比では女性が約8割、年代では50代以上が9割を占めているといいます。

●先駆けは製薬会社

「どうき・息切れ・気つけに」で知られる救心製薬(東京)は2社よりも一足早く、2014年4月に「大人の粉ミルク」(希望小売価格7袋入り1728円、30袋入り5940円)を発売しています。1袋(9.5グラム)を水やぬるま湯で溶かして飲むと、コップ半分(約100ミリリットル)で牛乳1杯分のカルシウムがとれるそうです。飲みやすいようにヨーグルト風味に仕上げてあります。

救心製薬は主力商品「救心」の主な購買層である60代以上の人たちから、「牛乳はおなかがゴロゴロして苦手」や「一度に大量は飲めない」との声がのぼり、牛乳の代わりになるような商品をつくろうと開発しました。他の2社と違って乳幼児用の粉ミルクを製造していないため、大人向けの粉ミルクはゼロからのスタートでした。

商品はドラッグストアやEC(電子商取引)サイトなどで販売しており、情報企画部の菊池正子マネジャーは「安定的に売れています。秋以降、消費者からの問い合わせが増えており、生産が追いついていないのです」と説明します。「需要はあると思うので、今はヨーグルト風味の1種類ですが、今後は他のフレーバーについても検討していきたい」と話しています。


毎日新聞生活報道部

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