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シャンプー新ジャンルぞくぞく


様々な種類のシャンプー(イラスト)薬用、ボタニカル、ノンシリコン――。ドラッグストアや雑貨チェーンの売り場にはさまざまなジャンルのシャンプーが並びます。それぞれ何を意味し、どんな特徴があるのでしょう。

●化粧品と薬用で差

シャンプーは通常、医薬品医療機器法(旧薬事法)で、頭皮や髪を清潔にしたり美しくしたり健やかに保ったりする「化粧品」に分類されます。ただし、「薬用」が付いた製品は、消炎や殺菌など一定の有効成分を含んでいる「医薬部外品」です。説明書きにはよく、四角で囲まれた「医薬部外品」の文字が確認できます。

販売の際、化粧品のシャンプーは「香りで毛髪、頭皮の不快臭を抑える」「ふけ、かゆみがとれる」と表示できます。薬用シャンプーは「ふけ、かゆみを防ぐ」「毛髪、頭皮の汗臭を防ぐ」です。一見同じようですが、前者が出てしまった臭いやかゆみを除去するのに対し、後者はかゆみや臭いを予防する違いがあるのです。

「無添加」表示も決まりがあります。メーカー約800社で構成する化粧品公正取引協議会は公正競争規約の中で、無添加など無配合を意味する用語を使う時は「パラベン無添加」「ノンエタノール」など、何を配合していないのかを明記するよう定めています。「無添加シャンプー」と銘打つ製品を見ると、防腐剤や着色料、香料、アルコールなどの全部または一部不使用のものを指すようです。

ただし規約は「無添加ですから安心してお使いください」といった表示は使用できないと定めています。添加物を使った製品は安心できないと思わせる表現になるためです。添加物の基本的な安全性は確認されています。また、防腐剤無添加とうたいつつ、代わりに防腐剤と認知されていないが防腐効果のある化学合成成分が使われていることもあります。

「ノンシリコン」は、髪の指通りを良くしたり、艶を出したりするためのシリコン(正式にはケイ素樹脂のシリコーン)を配合していない商品です。シリコンは、コンタクトレンズやティッシュペーパーにも使われていますが、花王広報によると、2010年ごろから「シリコンは頭皮に悪い」「毛穴に詰まる」といったうわさが広まり、ノンシリコンがブームになったといいます。

資生堂や花王は実験結果を基に、通常の使い方でシリコンが地肌や髪にダメージを与えたり毛穴に詰まったりすることはないと解説しており、最近はブームも落ちきました。シリコンは髪にしっとり感を出したりボリュームを抑えたりする機能があり、洗い上がりのさっぱり感やふんわりとした仕上がりを求めて元から配合していない製品もあります。例えば花王の「メリット」は、1970年の発売当初からノンシリコンです。

●ボタニカルが人気

最近店頭で目立つのが「オーガニック」や「ボタニカル」です。約1200社で構成する日本化粧品工業連合会の担当者は「化粧品業界ではほとんどの用語に定義がなく、あるのが例外」と話します。連合会は構成企業に、消費者が誤解しないように根拠を示し、自己責任で表示をするよう呼びかけています。

例えばボタニカル。「植物の」という意味の英語ですが、人気をけん引する製品「BOTANIST(ボタニスト)」を販売するI―ne(アイエヌイー)の広報は「植物の恵みを引き出す配合や製法を用いて一般に適した状態で届けることをボタニカルと考えている」と説明します。植物原料の配合割合は公表していません。「ファッションの世界で植物柄をプリントするボタニカルが流行していることにいち早く目をつけ開発しました」と広報は明かしました。

食品の「オーガニック」は、化学肥料や農薬を一定年数使わないなど、農林水産省の有機JAS(日本農林規格)認定を受けなければ表示できませんが、シャンプーの場合は特に共通の定義がありません。「天然」「自然」も同様です。有機栽培の植物から取った精油や植物由来の成分などを配合してオーガニックと称しているのです。

その他、一般的な用語の意味をメーカーに聞きました。花王によると、「ダメージケア」は髪の成分そのものを元に戻すわけではないことに注意。傷んだ部分に特定の成分を吸着させて一時的に修復します。「頭皮ケア」はかゆみや臭い、べたつきのもとになる皮脂を取りやすくする成分や消炎剤、抗菌剤などを含む製品で使われます。富士フイルムによると、最近増えている「アミノ酸系洗浄成分」は、人体の構成要素でもあるアミノ酸を原料とする洗浄成分が入っているもの。一般に石油系よりも肌の成分に近いとされています。「ナノ化」は成分を超微細にすること。ナノは10億分の1を表す単位です。「アスタリフト」ブランドでは、ナノ化した方が浸透性が高まった実験結果を基に、髪の内部の構造を補強するヒト型ヘアセラミドを小さくして配合しています。

シャンプーを試して選ぶ(イラスト)●試して選んで

「生シャンプー」なるものもありました。中身が空気に触れない容器で酸化を防ぎ、いつも新鮮、イコール「生」とうたっています。それにしてもなぜこれほど次々と新しいジャンルが生み出されるのでしょう。

化粧品の安全性研究に携わってきたビューティーサイエンティストの岡部美代治さんは「使ってみないと良さが分からないので、メーカーはまず手にとってもらうため新しいイメージやデザインを創意工夫しています」と説明します。最近は「機能性」を打ち出す製品と、無添加や植物性原料などで「安全性」を打ち出す「ナチュラルコスメ」に方向性が大別されるそうです。

岡部さんは「キャッチコピーに左右されず何が特徴か見極められるといいけれど、成分表示を見ても普通は理解できません。メーカーが分かりやすく説明する必要があります」と指摘。消費者に対しては「どのメーカーも製品の安全性は確認していることを理解したうえで、そのメーカーが信頼できるか、自分の髪に良さそうかどうかを判断し、サンプルも使って選ぶといいのでは」とアドバイスしています。


毎日新聞生活報道部

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