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リュックで通勤


リュックで通勤!(イラスト)リュックサックを通勤カバンとして使う人が増え、電車通勤が多数派の都市圏ではスーツ姿でリュックを背負うスタイルは珍しくなくなりました。なぜこんなに広まったのでしょう。あなたは「スーツにリュック」、オーケーですか。

●震災契機に浸透

渋谷ロフト(東京都渋谷区)のバッグ・旅行用品フロアでは、スリーウエー(リュック、手提げ、ショルダーの3通りに使える)やツーウエー(リュックと手提げの2通り)のタイプを含めたリュックが、売り場面積の約8割を占めています。

IT関連企業に勤める東京都内の50代男性は「リュックはパソコンや本、書類、ペットボトルなど重いものが運べ、両手が空くのがいい。普段の通勤は背負いやすいリュック、顧客に会う日は手提げになるスリーウエーと使い分けてます。こうして定期的に店をのぞき、新商品や使いやすそうなリュックがあるかチェックしています」と話しました。

通勤にリュックを使う人は、服装が自由な職種を中心に以前からいたのですが、「ニーズが高まったのは2011年の東日本大震災がきっかけ」と売り場のチーフは話します。「徒歩で長距離の移動を強いられた」「重いペットボトルを持ち歩くようになった」「自転車通勤を始めた」――。両手の空くリュックの便利さに多くの人が気付き、徐々に浸透していったそうです。

通勤用リュックを買い求めるのは、20〜40代の男性が中心。売れ筋は価格1万5000〜2万円程度で、13〜15インチのノートパソコンが入り、置いたときに自立するもの。黒や濃いグレーなどの単色が中心で、女性には黒や紺のほかカーキやベージュも人気です。「以前は、仕事で使うなら四角い形で革製で……などの固定観念があったようですが、ここ2、3年で『パソコンを入れて運べればいい』と色や形、素材の許容範囲が広がり、よりビジネススタイルのカジュアル化が進んでます」と説明してくれました。

●スマホ普及で加速

この流れをさらに加速させたのは、スマートフォンの普及です。両手を使ったほうが操作しやすく、リュック愛用者が増えたとみられます。「ポーター」などのブランドで知られるバッグメーカー大手の吉田(東京都千代田区)は、リュックだけで約400の型を製造していますが、「そのうち現在、ビジネスでの利用が推測されるのは50型程度。震災やスマホをきっかけにアイテム数を増やしてきました」といいます。

「世代が変われば価値観も変わります。例えば団塊の世代にとっては、スーツ姿でリュックを背負うのは邪道かもしれません。ですが、クールビズが浸透した団塊ジュニア世代なら、スーツにスニーカー、リュックの軽装は『あり』。タブーではなくなっていると思います」(広報部)。カジュアル化が進んでいるとはいえ、あくまでビジネスの場を意識した上品なデザインが人気です。水に強い、ポケットや仕切りが多く収納力がある、といった機能性の向上と軽量化を両立させることが、商品開発の課題です。

●初対面なら避ける

サラリーマンのスーツ姿の長い歴史に比べ、リュックスタイルはつい最近の流れです。そもそも、スーツにリュックは「あり」なのでしょうか。NPO法人「日本サービスマナー協会」の講師で、ビジネスマナーに詳しい上田由佳子さんは「一概にダメとは言えませんが『相手』によります。通勤で使うことが許されている企業でも、営業職などで他社、取引先を訪問する仕事の人はリュックは避けたほうがいいでしょう」と言います。

上田さんによると、一般的に50代以上の人はリュックに対して、まだカジュアルな印象が強いです。会社の代表として訪れるのだから、リュック一つで「軽く見られている」「真剣さが足りない」などと誤解されては悲しいし、会社にとっても損失となります。相手がリュックに対してどんな感覚を持っているか分からない場合、初対面の場合は使わないほうが無難でしょう。ファッションやIT、飲食関係、マスコミなどの業界の一部では、服装や持ち物で個性を発揮し、認められることもありますが、「おしゃれして自己主張するのがマナーではありません。ビジネスの場では、あくまで周囲に不快な思いをさせないための『身だしなみ』を意識してください」とアドバイスしてくれました。

混雑時はマナーを守ろう!(イラスト)最も実践しているのは、就職活動中の学生かもしれなません。会う人は常に目上、という状況だけに、スーツ姿にリュックはほとんど見られません。就活・就職情報サイトを運営するマイナビ(東京都千代田区)によると、「服装や靴、カバンに関してのルールや規制はない」そうで、「就活は学生にとって初めての経験なので無難な選択をしがちです。量販店やスーツ専門店などで就活用として勧められている、一般的なビジネスバッグを購入する学生が多いようです」と分析します。

●混雑時、周囲に注意

通勤時にリュックを背負うときにもマナーは必要です。混雑する場所や電車の中では、できるだけ前で抱えます。電車内で座席の前に立つなら網棚にのせます。座っているときは床に置かず膝の上にのせます。「混雑時のエスカレーターでは、背負っていれば後ろの人の顔にぶつかり、抱えれば前の人を押してしまうので、手で提げて移動したほうがいいでしょう」と上田さん。リュックスタイルの時は常に背後を意識し、「自分だけが楽で快適」とならないようにしたいものです。


毎日新聞生活報道部

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