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小学生とスマホ


進級や塾通いをきっかけに小学生にスマートフォン(スマホ)を買い与える家庭が増えています。養護教諭らのグループは、スマホを与える前に、子どもの成長度合いや保護者自身の使い方をしっかり見ることが重要としています。

スマホを操作する小学生(イラスト)●対人関係結べるか

クラスの友だちとの無料通信アプリ「LINE(ライン)」のやりとりで睡眠不足になり3日連続で保健室に来た小学4年生男子。ゲームや動画サイトに毎日5時間ほど費やし、「イライラして勉強に集中できない」と話す2年男子。ネットで知り合った男性に会うように求められ怖い思いをした女子………。小学校の教員有志で作る「子どもたちの健やかな育ちを考える養護教諭の会」が「先生・保護者のためのスマホ読本」(学事出版)で示す事例です。

「会」は、中学・高校・大学生の携帯電話・スマホ利用を調査研究してきた愛知東邦大学の今津孝次郎教授(教育社会学)が、小学生についても考える必要性を感じ、保健室の先生たちに呼びかけ始まりました。森慶恵さんら名古屋市内の養護教諭5人が集まり、2015年7月から約2年議論し、親子でルール作りを話し合うためのチェックシートを考えました。

「スマホを与える時期や機器の使い方が問題ではない、という点は先生たちと一致しました。重要なのは、保護者が、対人関係の結び方など我が子の発達状況や、自身のスマホ依存度を把握しているかどうかです」と今津さんは話します。

●保護者も自覚を

会の代表の森さんは当時中学校に勤務していました。中学生の問題は、それ以前の小学校での生活の積み重ねに関係すると感じていました。森さんは「子ども同士や親子間のコミュニケーションの課題となる部分にスマホがあり、問題が表れます」と分析します。「『個人情報をさらさない』『知らない人とメールするのは危険』と教えても、身近な大人に十分受け止められていないと感じていると、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上の知り合いに受け止めてもらいたくなるのでは」と話し、機器の扱い方を教えるだけでは不十分とみています。

もう一つ、よく議論されたのが、親子関係です。我が子が動画やSNSに長時間没頭していても、子どもとの衝突を恐れ、機器を取り上げることをためらう親もいます。森さんによると、スマホ依存度の強い子は小学生の1割にも満たない。だが、「子どもとの衝突を恐れて生身でぶつかるコミュニケーションを避ける家庭が増えているのでは」と警戒しています。

親子で話し合いを!(イラスト)スマホを取り上げたときの子どもの反応が不安、スマホがないと仲間外れにされないか心配、と悩む保護者の声は、「会」で度々話題になりました。背景には自らがスマホを手放せない保護者の姿があります。「使う時間を決めたり、(悪質なサイトへの閲覧制限をする)フィルタリングを入れたりしても、成長途上の子どもは何らかのトラブルに遭う可能性があります。だからこそ、スマホを与える前に親子で話し合い、困ったらすぐ相談できるようにしておきたいものです」と心配しています。

森さんたちが考えたチェックシートではまず、「こんにちは、さようならが言える」「相手の目を見て話をする」など対人関係能力の基本を問いかけます。「ネット上のマナー、いわゆる『ネチケット』は、普通の対人関係のマナーと同じです」と今津さん。次のチェックシートでは、我が子にスマホを持たせる前に保護者が自覚してほしいことを挙げました。

本の末尾には新入学時の生活、スマホデビュー時、中学生になるとき……と段階別に親子で書き込む3種のワークシートをつけました。LINEのトラブルになりやすい会話の例や、自立し始める3、4年生の時期の特徴も示し、子どもの様子をイメージしやすくしました。「年齢に関係なく、子どもの成長に合わせることが大事です。思春期に入る前の小学生なら親子の話し合いにも入りやすいでしょう」と森さんは勧めます。

●遅くなる利用時間

内閣府が17年11〜12月、10〜17歳の3288人と保護者3469人に聞いた調査では、小学生のスマホ所有・利用率は29.9%でした。12年度は2.1%だったのが年々増加しています。

情報セキュリティー企業のデジタルアーツ(東京都千代田区)が今年1〜2月、何らかの携帯電話・スマホを持つ小4〜高校生と、小3までの子がいる保護者を合わせた1236人に聞いた調査では、スマホの1日の利用時間が1時間〜3時間未満の男子小学生は49.5%、女子は35.0%いました。利用時間帯に「午後9時〜午前0時」と回答した男子小学生は43.7%、女子は40.8%に上り、低年齢層でも利用時間帯が遅くなっていることが目立ちます。

0〜9歳の保護者では、タブレットやゲーム機などの子ども専用ネット接続端末を持たせる割合が58.1%に。デジタルアーツは「乳幼児をあやすためスマホを見せる風景は珍しくありません。就学前からルールを教え、機器は貸与されたもので、親が管理すると認識させることが大切です」と話します。幼児でも理解できるように作った教材では(1)つかいすぎにきをつけよう(2)おとなといっしょにつかおう(3)マナーがたいせつ――の3項目をルールとして示しています。

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 ■チェックシート1
 ※子どもと親自身が身につけている「対人関係能力」を見つめ直す
□ 「おはようございます」「こんにちは」「さようなら」が言える。
□ 「ありがとう」「ごめんなさい」が言える。
□ 相手の目を見て話をする。
□ 温かい言葉がけができる。
□ 上手な頼み方、上手な断り方ができる。
□ 相手の気持ちも考えた上で、自分の意見を伝える。

 ■チェックシート2
 ※親のスマホとのつき合い方
□ いつもスマホをそばに置いていないと不安。
□ メールのやりとりは1日10通以上。
□ ブログなどの更新を毎日する。
□ 時間を忘れてゲームをしたり、YouTubeを見たりすることがある。
□ 直接、言いにくいことはメールにすることが多い。
□ メールの返信が遅いと気になる。
 ※学事出版「先生・保護者のためのスマホ読本」から


毎日新聞生活報道部

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