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3人乗り自転車の乗り方は


横浜市の保育士の女性が7月、1歳4カ月の次男を抱っこしたまま自転車で転倒し、次男が死亡する痛ましい事故が起きました。幼児2人を乗せる「3人乗り自転車」を安全に使うにはどうしたらよいのでしょう。

危ない!3人乗り自転車(イラスト)●事故は氷山の一角

女性は7月5日、都筑区の市道で、次男をひもで抱っこし、左手首に傘を下げた状態で電動自転車を運転していました。自転車は3人乗りで、前部の幼児用座席には長男(当時2歳)を乗せていました。傘の先が自転車のフレームと前輪の泥よけの間に挟まったせいでハンドルが動かなくなり、転倒につながったとみられています。神奈川県警は今月14日、次男を死亡させたとして母親を過失致死の疑いで書類送検しました。

全国24医療機関で作る「医療機関ネットワーク事業」が収集した事故報告によると、2010年から今年6月までの約7年間で、乳幼児を抱っこやおんぶしながら幼児用座席付きの自転車に乗って起きた事故は66件に上ります。このうち入院を要する事案は16件でした。また、幼児用座席付き自転車の転倒や転落事故の報告も、10年から約6年間で589件に達しています。警察関係者は「実際は病院に連れていかず、申告しない人がほとんど」と指摘し、事故の数は氷山の一角とみています。

自転車販売の最大手・ブリヂストンサイクルによると、幼児用座席のある電動自転車の販売台数は増加傾向にあり、子育て中の親たちに欠かせないツールになっています。4歳と1歳の子どもをもつ東京都の母親(34)は購入後、行動範囲が広がりましたが、子ども2人を乗せると自転車の重量が100キロ近くになり、何度も転びそうになったそうです。母親は「3人乗り自転車は妥協の乗り物。子どもを危険にさらしたくはないけれど、子ども2人を育てるにはやっぱり必要」と言い切ります。街中を走る3人乗り自転車の中には、幼児用座席に上の子を座らせ、下の子は抱っこやおんぶをして自転車に乗る人も珍しくありません。

道路交通法では原則、2人以上で自転車に乗ることを禁止しています。ただ、事故の起きた神奈川県では道交法施行細則で16歳以上が運転する場合に限り、幼児用座席に乗せるかひもでおんぶすれば6歳未満の幼児2人までの同乗を認めています。他の自治体も年齢の違いはあるものの、同様です。

●おんぶも危険

子どもの事故防止に取り組むNPO法人「Safe Kids Japan」の理事長で、小児科医の山中龍宏さんは「おんぶも抱っこも、転んでしまえば危険度は同じ。子どもが母親のクッションになり、大けがをしてしまいます」と警鐘を鳴らします。

山中さんらは16年8月、東京工業大と共同で、自転車が横転した際、抱っこやおんぶされた乳児が頭部に受ける衝撃について実験しました。大人の女性と6カ月の乳児の人形を使い、乳児の頭などに計測装置を着けて調べたところ、おんぶの乳児が受けた衝撃力は、頭の骨を折るレベルの基準値の2.7〜3.5倍。抱っこでも2.3〜2.8倍に上りました。実験の担当者は「抱っこはハンドル操作の邪魔になるから法律で禁じたのでしょう。抱っこもおんぶも、座席に座っていて転倒するより頭を直撃する可能性が高いです」と分析します。

安全第一で自転車に乗りましょう(イラスト)3人乗り自転車に安全に乗るには、どんな点に気をつければよいのでしょう。自転車ジャーナリストの遠藤まさ子さんは「自転車を乗り物でなく『育児用品』と考えている人が多いです」と指摘したうえで「タイヤの空気が抜けるとブレーキの利きが遅くなり、衝突して転ぶリスクが高まります。乗る前に空気圧をチェックし、週に1度は空気を入れるなど整備してください」とアドバイスしています。

専門家らで作る「自転車の安全利用促進委員会」理事の疋田智さんは「必ず幼児用座席に座らせて、ヘルメットやベルトを着けることが大切」と強調します。雨が降った時はマンホールなどが滑りやすくなるうえ、視界も悪くなり転倒の危険性が高まります。「朝から雨が降っていたら、ためらわずに徒歩かベビーカーで出かけてください」と話しました。


毎日新聞生活報道部

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