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AIで外国人と話す


外国語を理解できないタクシー運転手(イラスト)東京五輪・パラリンピック開催まであと2年を切りました。訪日外国人観光客は年々増え続け、日本政府観光局によると、2017年には約2869万人に上ります。言葉がわからなくても、自動翻訳サービスで円滑にコミュニケーションをとるための方法を紹介します。

●スマホに話すだけ

街を歩いていて、外国語で話しかけられたら――。「外国人観光客とコミュニケーションができるのとできないのでは、いろいろなところで差が出ます」。そう話すのは、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の隅田英一郎フェローです。「(語学を修めるのは)コストがかかるし、例えば英語だけでいいのか、という問題もあります。言葉の壁を克服するには、機械に頼るのが効率的な手段です」と強調します。

NICTは話しかけると外国語で翻訳文を表示し、音声が流れるアプリ「VoiceTra(ボイストラ)」を無料で提供しています。スマートフォン(スマホ)などモバイル端末にインストールし、起動後、対応している31言語の中から翻訳したい言語を選び、画面下に表示されるマイクのボタンを押して話します。口元から10センチ以内に近づけて話すと声が認識されやすいです。必要以上にゆっくり話したり、伝えたいことをまとめずに話したりすると、うまく翻訳されないそうです。

例えば日本語を英訳する場合、端末に向かって「東京駅までは電車で10分です」と話します。すると画面に「It takes ten minutes by train to Tokyo station」と訳されるのです。さらに、「東京駅まで電車で十分かかります」と意味も表示されるため、正しく入力できたかを確かめることができます。

日本語特有の敬語や固有名詞、方言を避け、簡潔に短い文で話すのがコツです。「ございます」「〜になります」といった表現は「です」「ます」と言い換えたり、「都営線」を一般名詞の「地下鉄」に直したりしましょう。標準語がのぞましいですが、関西弁で「なんでやねん」と入力すると、「No way!(とんでもない)」と正しく英訳される例外もあります。隅田さんは「意外に翻訳できる場合もあります。まずは一度試してみて、できない場合に言い換えてみるのがオススメです」と言います。

翻訳機でスムーズなコミュニケーション(イラスト)●カメラ撮影でも

ほかにも、自動翻訳は数多くあります。米IT大手グーグルの「グーグル翻訳」は、アプリだけでなく、インターネットのブラウザーで簡単に使うことができます。アプリの場合は事前にデータをダウンロードすることで、ネットワークに接続しない状態でも利用できます。対応言語が103と多いことや、カメラで撮影するだけで翻訳できる機能、言語を自動で判別してくれる機能もあります。

グーグルは、NICTでも導入している、人の脳の仕組みを再現した「ニューラルネットワーク」を取り入れています。文章を従来の単語ごとではなく一つの文として扱い、より正確で自然な、話し言葉に近い訳文にすることができるそうです。グーグル日本法人の広報担当者は「センテンスで訳すことができるので、気軽に使ってもらえます」と話しています。

NICTの隅田さんは「ちょっとしたことが通じるだけでいいのです。機械がそれを助けることができます。そうすれば、もっと多くの外国人に来てもらうことにつながるでしょう」とアドバイスします。NICTは総務省と、民間企業の翻訳データを集めて蓄積する「翻訳バンク」の運用をしており、観光客向けだけでなく、労働や医療といったあらゆる分野で使える研究を進めています。


毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2018年11月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。