お役立ち情報/情報ものしり帖


ペットの引き取り


ペットを飼う高齢者(イラスト)ペットを飼う高齢者にとって病気や自分の死後にペットをどうするかは大きな問題です。一時的に世話ができなくなったり、飼い主が亡くなったりしたときに引き取る飼育支援サービスが広がっています。

●高齢者でも安心に

高齢者のペット飼育を支援する大阪市西区のNPO法人「ペットライフネット」代表の吉本由美子さんは、約10年前に高齢女性と交わした会話が忘れられません。女性は独り暮らし。「防犯システム音声が『お帰りなさい』と声をかけてくれるのがうれしい」日々でした。自宅には女性が死別した愛猫を描いた絵が飾られていました。「また猫を飼わないのですか」と吉本さんが尋ねると、女性は「飼いたいけれど今からは難しい」と答えたそうです。

動物愛護管理法は飼い主に対し、飼っている動物を寿命まで適切に飼育する「終生飼養」に努めるよう求めています。高齢者は自身の病気や死亡で飼育困難に陥るリスクが高いことから、動物愛護団体から譲渡を断られることが多いものです。一般社団法人ペットフード協会(東京都)が2017年に実施した調査では、犬猫を飼いたいが現在飼っていない70代に理由を尋ねたところ「最後まで世話をする自信がないから」という回答が最も多かったです。

●NPOが請け負い

吉本さんも猫を飼っています。「死ぬまで一緒に暮らすにはどうしたらいいか」と考え、13年にNPO法人を設立しました。支援サービスは主に2種類。飼い主の入院時などにボランティアがペットの世話を家庭で請け負う有償サービスと、飼い主の死亡などで飼えなくなった場合にペットを新しい飼い主に引き渡すサービスです。いずれも有料登録の会員向け。引き取り後の飼育費は、飼い主がペットの予想寿命分を準備し、信託や寄付という形で新しい飼い主に託します。

ペットのエンディングノートを利用する高齢者(イラスト)ペットライフネットは先月、飼い主がペットを引き渡す際に役立つエンディングノートも出版しました。飼い主自身の情報に加えペットの性格や日常の世話のポイントなどを詳しく書き込めます。吉本さんは「誰かのためにと思えば元気に長生きできます。子育てや仕事が一段落しゆっくり世話ができるシニア家庭は、ペットにとっても良い環境です」と話します。

保健所やブリーダーから保護され引き取り手のいない犬猫と、ペットを飼いたい高齢者をマッチングさせようという取り組みもあります。犬猫の保護・譲渡事業に携わる千葉県松戸市の一般社団法人「動物共生推進事業」は、譲渡に年齢制限を設けていません。もし、飼育できなくなれば再び引き取り、新しい飼い主を探します。代表の三本美栄(みえい)さんは、保護猫や保護犬の譲渡会場で「飼いたいけれど、飼ってはいけないのよね」とあきらめる高齢者の姿を多く見てきました。「自分に何かあった時も、家族として大切にしてきたペットたちが安全で快適に暮らせる保証があれば、シニアでも安心して飼育できます」と訴えます。

●獣医師も連携

獣医師らも支援に乗り出しています。東京都足立区のNPO法人「高齢者のペット飼育支援獣医師ネットワーク(VESENA)」は、登録サポーターとなった動物病院らが散歩などの日常飼育支援や動物看護師による自宅訪問を実施しています。飼えなくなった場合は獣医師のネットワークで新しい飼い主を探します。

副理事長で「まるち動物病院」(足立区)の親跡(ちかあと)昌博院長は「高齢で『もう飼わない』という人は多いが、ペットと死別し、それでもまた飼いたいというシニアの中には動物を飼い慣れている優秀な飼い主が多いです。そういう人にこそ飼ってほしいものです」と話します。「飼育生活を具体的にイメージし、できない部分をカバーできるサービスがあるかどうかを考え、家族と前向きに相談してほしいものです」と呼びかけました。


毎日新聞生活報道部

Copyright© 2003 - 2019 Kyoei Fire&Marine Insurance Co.,Ltd. All rights reserved
※掲載されている情報は2019年1月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。