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脱プラの週末


使い捨てプラスチックによる海洋汚染が問題になっています。環境省によると、国内で、ペットボトルや容器包装の家庭ごみにより、年間約407万トンのプラスチックが排出されています。リサイクルを進める傍ら、プラスチックごみの総量を減らすことが喫緊の課題です。夫と2歳の長女がいる記者が、週末の2日間で"脱プラスチック"生活に挑戦しました。

プラスチック製品について考える女性(イラスト)●週末、一家で挑戦

始める前に、どこまで徹底できるか考えてみました。歯ブラシ、洗顔料の容器、子ども用の皿やコップ。すべてがプラスチック製品で、排除するとチャレンジ初日の朝から生活が成り立たちません。まずは、使い捨てプラスチック製品をなるべく使わないことと入手しないことを目標に、2日間過ごしてみることにしました。

1日目は朝から保育園のお遊戯会。外履き靴を入れるためいつもはスーパーの袋を持参しますが、紙袋にしました。ビニール袋よりきちんとして見えるし、使い終われば古紙にも出せます。幸先のよいスタートです。

その後、娘のインフルエンザ予防接種。注射の際にあまり泣かなかった娘をほめ、いつもの調子で「頑張ったからゼリーをあげようね」と声をかけてしまいました。一口サイズのゼリーは、もちろんプラスチックのカップ入り。直後に気づき、「やっぱり煮干しにしようか」と提案するも受け入れられず、プラごみ第1号を出してしまいました。

午後はプラスチック包装されていない商品を探すべく、品ぞろえが豊富な大型スーパーへ行きました。果物コーナーではリンゴやキウイ、柿が裸でばら売りされていました。野菜コーナーでは、レタス、トマト、キュウリ、長ネギ、ジャガイモ、ニンジン、タマネギ、ブロッコリー……とさらに選択肢が広がります。ほうれん草はビニールテープで束ねられていましたが、娘がよく食べるので買うことにしました。常備しているキノコ類や大葉などの薬味類はすべてプラスチック包装のため、今回は諦めました。

●トレー包装ばかり

プラスチックなし生活で最初に心配したのが「肉や魚は買えるのだろうか」ということです。昔は木を紙のように薄く切った「経木」や紙で包まれた肉も売られていましたが、最近は個人店でもなかなか取り扱っていません。鮮魚コーナーではすべての魚がプラスチック製トレー包装で、さばく前の魚も付属のビニール袋に入れる仕様です。売り場を眺めていると、サバの水煮缶を発見。魚料理は缶詰に頼ることに決めました。

精肉コーナーでもやはりすべての商品がトレー詰めでしたが、対面販売のショーケースの上に、包装用の薄い紙が置かれていました。女性店員に「この肉は紙で包んでくれるんですか?」と聞くと、包んでくれるといいます。うれしくなって、ここで肉をまとめ買いすることにしました。

ショーケースの肉の価格はトレーの肉の2倍でしたが、この際仕方ありません。選んだ肉を店員が白い紙で包んでくれました。「最近は経木も紙製なのだな」と思いながら眺めていたのですが、妙な光沢が気になります。「もしかしてそれ、プラスチックですか?」。おそるおそる聞くと、店員は不思議そうな顔で「そうですけど」と言い、プラスチック包装の上からさらに紙で包み始めたのです。今更「要りません」とも言えず、丁寧に包装された肉を買い物かごに入れました。

「紙のふりをしたプラスチック」はコーヒーコーナーにも。薄茶色でクラフト紙のような手触りの袋ですが、裏面にはしっかりと「プラ」の表示。ジャム瓶はよく見ると、ふたの周りが透明ビニールで覆われていました。買い物を終えて家に着くと徒労感を感じました。

スーパーで肉や魚を買うことが難しいなら、個人商店はどうでしょう。この日の夕方、近所の精肉店2店舗と豆腐屋、総菜店をはしごしました。精肉店は両店とも経木ではなくプラスチックトレーに入れて販売。夫婦で営む小さな総菜店なら持参容器に総菜を入れてくれるかもと期待したけれど、夕方だったため「もうすぐ閉店だから全部パックに詰めちゃったよ」と言われ、かないませんでした。

唯一、豆腐屋では持参容器に豆腐を入れてもらうことができました。豆腐が大きすぎてふたが閉まらないのを心配し、店番のおばあちゃんがしきりにビニール袋を薦めてくれたのですが、丁重にお断りしました。

おしぼりではなく持参したぬれタオルで(イラスト)●減らせるごみある

2日目は娘を連れて図書館へ。途中、カフェで早めの昼食をとりました。いつもはおしぼりを余分にもらって娘の口の周りやテーブルを拭くのですが、ビニール袋に入っていることが多いため、今回は自宅からぬれタオルとウエットティッシュを持参しました。娘にぶどうジュースを注文する際は「ストローは要りません」と伝えました。

しかし、運ばれてきたコップには深々とささったストローが。前日の精肉コーナーでの出来事といい、「プラスチック製品を使わないので要りません」とはっきり伝えなければ、勘違いされたり失念されたりしてしまうと感じました。

夕方、こんな時に限ってシャンプーが切れ、詰め替え用のストックもないことに気がつきました。ドラッグストアの陳列棚はプラ容器に入ったシャンプー類が並びます。諦めかけた時、紙箱に入ったせっけんを見つけました。「これで髪が洗える」とほっとして購入。けれど、帰宅して箱を開けてみると、中から出てきたのはプラスチックの袋で丁寧に包まれたせっけんでした。「こんなことなら普通のシャンプーを買っておけばよかった」。そう思いながらキシキシする髪を乾かして、2日間のチャレンジを終えました。

たった2日間でも、プラスチックを避けて生活することはとても難しいものでした。週末だったので時間をかけて買い物し、限られた食材で料理を作ることもできましたが、平日にそんな余裕はありません。ラップが使えなければ、週末に子どものご飯をまとめて作り置きすることすらままならないのです。仕事と育児の両立を可能にしている時短の工夫が、プラスチック製品に支えられていることを痛感しました。

心がけ次第で減らせるプラスチックごみもあります。保育園用のコップと歯ブラシを入れる袋をビニール袋ではなく布の巾着袋にする▽外出先にはできるだけウエットティッシュを持参する▽電子レンジで温める際はラップではなくプラ保存容器を使う――などの小さな取り組みは今も続けています。生活からプラスチックをすべて取り除くことはできなくても、数日間限定でプラなし生活をしてみたら、それぞれの家庭で工夫できる余地が見つかるかもしれません。


毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2019年1月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。