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災害時の調理


災害時に電気やガス、水道が使えなくなっても、ポリ袋があれば簡単に食事を作ることができます。食材を入れて湯煎で火を通すだけの「パッククッキング」「ポリ袋調理」などと呼ばれる調理法です。専門家に教わってみました。

ポリ袋があれば一つの鍋で同時に作れる(イラスト)●ポリ袋で炊飯も

ポリ袋を使った調理法は、うまみを逃さず、いくつかの料理を一つの鍋で同時に作れるのが利点です。鍋は汚れず、水は何度も使えるので節約になります。洗い物を減らすため、袋のまま食べます。何よりも温かいものを食べられるのがうれしいです。カセットコンロとガスボンベ、鍋を備えておき、ポリ袋は高密度ポリエチレン製を使います。管理栄養士で災害食に詳しい今泉マユ子さんは「お湯ポチャ」と名付け、さまざまなレシピを提案しています。

まずは基本となるお米の炊き方から。ポリ袋に米と水を入れて、空気を抜きながら根元からねじり上げ、できるだけ袋の口に近い部分で結びます。加熱すると膨張するためです。その後、水を張った鍋に入れ、ふたをして火にかけます。沸騰したら中火で20分。火を止めて蒸らしたらできあがりです。全がゆも同じように作れます。米は無洗米が好ましいですが、災害時は有洗米でもいいでしょう。

マーボー高野豆腐(イラスト)●レトルトを活用

温かいおかずも一緒に作れます。レトルト食品を活用した「マーボー高野豆腐」は栄養価が高く、食欲をそそります。ポリ袋に一口高野豆腐と水、レトルトのマーボー豆腐のもとを入れ、鍋で加熱します。米を一緒に炊き、丼にすると食べやすいでしょう。

レトルト食品は既に具材に火が通っているため、下処理の必要がありません。味も決まっているので、さまざまな食材にかけたりあえたりするとバリエーションも広がります。「災害時に好きなレトルト食品を食べるとホッとします。自分や家族の好みのものを『ローリングストック』しておくといいでしょう」と今泉さん。早ゆでタイプのショートパスタと水、フリーズドライのコーンクリームポタージュで作れば、優しい味のスープパスタに。レトルトカレーと餅なら、子どもも喜ぶ満腹メニューとなります。

お湯ポチャをする際には、必ず高密度ポリエチレン製の袋を使います。厚手(0.025ミリ以上)のものか「湯煎で調理可」と記されているものがいいです。ジッパー付きの保存袋は避ける。鍋底の熱で袋に穴が開かないように皿を敷き、たくさん作るときは1袋に量をたくさん入れず、袋の数を増やすようにします。

●のみ込みやすく

長期化する避難生活では、温かく食べ慣れた食事をとれずに心身の不調を訴える高齢者も多いです。避難所で配られる食料はパンやおにぎりなどの炭水化物が中心です。歯が弱ったり、のみ込むことが難しかったりする人には食べづらいです。また、そればかり食べていては栄養バランスが偏ってしまいます。宮城県石巻市の管理栄養士、佐藤真由美さんは「被災時の食事をのみ込みやすくするためにポリ袋を活用してほしい」と話します。

パンはちぎって袋に入れます。乾パンは袋に入れてたたき、細かくします。そこに水やコーヒー、牛乳などの水分を入れて軽くなじませ、5〜15分おくと食べやすくなります。おにぎりやご飯は、袋に入れた後に水や湯を入れて粒をつぶすようにもみ、10〜20分おきます。佐藤さんは「ここに野菜ジュースを加えれば、栄養を補給することができます」とアドバイスします。

缶詰やレトルトなどでおかずも。煮魚やハンバーグなどを汁ごとポリ袋に入れ、食材が細かくなるまでもみます。パサパサするような白身魚や肉類は、マヨネーズやサラダ油など油分を少量加えるとしっとりします。食品をつぶすだけでのみ込みやすくなりますが、必要に応じてとろみ剤を加えるとさらに食べやすくなります。災害時はとろみ剤の代用になるものはほとんどないので、日ごろから多めに備えるといいでしょう。

東京ガスは先月、ポリ袋調理を含めた災害時の調理法をまとめた防災レシピの冊子「日々のごはんともしものごはん」を発行しました。広報部は「もしもの時をイメージし、自分や家族にあった方法で乗り切ることができる『自助力』の向上に役立ててほしい」としています。ホームページから無料でダウンロードできます。

災害はいつ起きるか分かりません。レシピを参考に、一度はポリ袋調理を試しておきたいものですね。

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◇お米の炊き方

《主な材料》
◆ご飯1合分=米(無洗米)150グラム▽水1カップ
◆全がゆ2膳分=米(無洗米)1/4カップ(40グラム)▽水1カップ

《作り方》
<1>高密度ポリエチレン製の袋に米と水を入れて、空気を抜きながら根元からねじり上げ、上の方で結びます。ご飯用と全がゆ用に1袋ずつ作ります。
<2>1/3の水を張って皿を敷いた鍋に(1)を入れてふたをして火にかけます。
<3>沸騰したら中火にして20分たったら火を止めて10分蒸らして、できあがり。熱いのでトングがあると便利です。

◇マーボー高野豆腐

《主な材料》(3人分)
▽一口高野豆腐小       18個
▽水             1カップ
▽レトルトマーボー豆腐のもと 1袋

《作り方》
<1>高密度ポリエチレン製の袋に材料を全て入れて、なるべく空気を抜いて根元からねじり上げ、上の方で結びます。
<2>1/3の水を張って皿を敷いた鍋に(1)を入れ、ふたをして火にかけ、沸騰したら中火にし、約15分間加熱します。


毎日新聞生活報道部

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