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盗撮防ぐには


盗撮事件が後を絶ちません。駅のエスカレーターや商業施設、学校など、どこで起きるか分からず、子どもの被害も少なくないです。子どもはどんな状況で被害に遭うのでしょう。周囲の大人ができることは何なのか、探ってみました。

狙われる子ども(イラスト)東日本在住の母親は2016年、当時小学4年生だった息子を小学生に人気の自然体験教室に参加させました。そこで、盗撮の被害に遭ったのです。

「息子さんが事件に巻き込まれたようです。盗撮されたビデオがありますから、確認するために来てください」。警察からの電話に驚いた母親は、通された部屋で言葉を失いました。脱衣所に設置されたと見られるカメラで撮影された動画に息子の裸体が映し出され、触られている様子が出ていたからです。大きな字で名前をプリントしていたバスタオルのおかげで、被害に遭ったことが分かったそうです。

容疑者は17年に逮捕され、児童ポルノ愛好グループと判明しました。自然体験教室に同行してはわいせつな動画の撮影を繰り返していたと報道されました。

母親はある日、息子に「同級生のお父さんから裸が見たいと言われた」と聞かされ、血の気が引きました。動画がインターネット上に出回っているのではと不安に襲われたのですがが、警察は「データは消去したので大丈夫」と言うだけでした。真相は今も分かりません。

息子は被害に遭ったことを知らないけれど、もう一度体験教室に行きたいとは言わなくなりました。母親は言います。「盗撮の被害は気づきにくいし、息子の名前が覚えられてまた狙われるかもしれません。いつ事件の被害者になるか分からない怖さをずっと感じています」

●トイレで同級生に

警察庁の統計によると、昨年上半期(1〜6月)に全国の警察が児童ポルノ事件で摘発したのは1423件で、被害者は615人に上ります。被害の内容別では、自分の裸を撮影させて画像を送らせる「自画撮り」が39%で最多。盗撮は25.4%で2番目に多かったです。被害者の年齢を小学生以下に限ると、61.3%に当たる92人が盗撮被害に遭っていました。

「スマートフォン(スマホ)と自撮り棒が盗撮を取り巻く状況を変えました。事件化されにくいだけで、学校のトイレで同級生に盗撮されたという相談もあります」。性犯罪に詳しい川本瑞紀弁護士は明かします。

川本弁護士によると、学校のトイレの個室に入ったところを自撮り棒に装着したスマホで上から盗撮されたのですが、学校内で処理されてしまい、相談に訪れたケースがありました。加害者が14歳未満の場合は刑法の処罰の対象外のうえ、民事上の損害賠償を請求しても働いていないため実質的な支払いは難しいのです。相談を受けたら性暴力を専門とする精神科医の心理的支援につないでいますが、「撮る側は悪ふざけでも、被害者は怖くてトイレに行けなくなって不登校になることもあります」と被害の深刻さを指摘しました。

ネットトラブルに要注意(イラスト)●データ流出したら

盗撮データがインターネット上に流出したらどうしたらいいのでしょう。IT関連の有志企業で作る「一般社団法人セーファーインターネット協会」(東京都千代田区)は、ネットに掲載された盗撮画像などの違法または有害情報の削除要請を手掛けています。協会は警察庁から委託を受けている通報窓口「インターネット・ホットラインセンター」(http://www.internethotline.jp/)に加え、13年秋から民間主体の自主事業として通報窓口「セーフライン」(https://www.safe−line.jp/)を運営しています。通報には削除したい情報が載っているURLを特定する必要がありますが、被害者に限らず第三者でも通報できます。

17年にセーフラインに寄せられた相談で、本人の意に反して撮影されたリベンジポルノのうち盗撮(相談者28人、385件)は、9割を超える359件が実際に削除されました。18歳未満の子どもが被害に遭った場合は児童ポルノに当たるため国内外で違法情報とみなされ、サイト管理者やプロバイダーも削除に応じやすいそうです。ただし、データは一度拡散すると完全に消し去るのは難しいのです。

●生徒同士で議論を

ネットトラブルなどの相談に応じている全国webカウンセリング協議会(東京都港区)の安川雅史理事長は「子どもは面白半分でやってしまい、犯罪だという感覚がないのが問題。加害者の意識を変えなければ被害はなくならなりません。教育現場で違法だと教えていく必要があります」と話します。

安川さんによると、校内で着替えている様子を撮影され、無料通信アプリ「LINE」のグループで男子生徒の間で出回ったという相談などが寄せられています。修学旅行のように宿泊を伴う場合、寝ている間にズボンを脱がせて下半身を撮影するなど、同性間での被害もあります。

学校での対応は、スマホの持ち込みを許可するかどうかが一つの鍵となります。使用禁止にするか、持ち込む場合も学校が預かれば被害は起きにくいものです。また、入学前の学校説明会でスマホの使い方やネットいじめについて説明しているとトラブルが少ないそうです。

例えば新聞記事を題材に、なぜ相手の許可なく撮影してはいけないのか、生徒同士が話し合うことは危機意識を持つのに有効です。安川さんは「スマホのトラブルを理解した上で子どもに持たせるかどうか判断してほしい」と訴えています。


毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2019年3月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。