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GPSで見守り


子どもの行動範囲は小学校入学を機に大きく広がります。時代の変化とともに地域の見守りは手薄になり、保護者もいつも近くにいるとは限らないものです。GPS(全地球測位システム)に特化した小型端末を子どもに持たせようとする親も増えてきました。

小型端末、カバンに(イラスト)●小型端末、カバンに

「子どもがどこにいるのかリアルタイムで分かり安心感があります」。昨年11月からビーサイズ(横浜市港北区)の見守りサービス「GPS BoT」を利用する東京都世田谷区の男性はそう語りました。保育園に通う6歳の長男はこの春から小学生。最寄り駅で迷子になったことがあり、知人の勧めで使い始めました。

端末は5センチ角の正方形で厚さ19ミリ。重さは46グラムで通話機能は付いていません。普段は保育園のカバンに入れてあり、親のスマートフォンのアプリに位置情報や履歴が表示されます。人工知能(AI)の学習機能が働き、保育園など頻繁に出入りする場所に到着・出発すると通知が届きます。端末は5184円、月額利用料は518円です。「この間、迷子になったでしょ。これを入れておけば居場所がちゃんとわかるから」。長男にはそう伝えました。「何歳まで使うか考えていません。低学年のうちはこれでいいのかなと思っています」と話しました。

ビーサイズの八木啓太社長も幼稚園児の父親です。開発のきっかけについて「子どもが安心して出かけられる、チャレンジできる環境を提供したいと考えました」と語ります。GPS機能付き携帯電話など子どもの位置情報を把握する機器はこれまでもありましたが、BoTは親が操作しなくても登下校などを通知してくれるのです。端末にスイッチなどはなく、学校にも持ち込みやすいです。2017年4月に発売し、出荷台数は1月に3万台を超えました。

数年前、恋人や配偶者の位置情報が逐一わかるアプリが「プライバシーの侵害」などとして物議を醸しました。BoTの利用規約には「同意を得ること」と明記。契約にはクレジットカードが必要で、端末のIDが分かれば誰が契約したか照会できます。テーマパークでの貸し出しや、入所者に徘徊(はいかい)の可能性がある福祉施設でも利用されています。

子どもの位置情報を確認する主婦(イラスト)●認める学校も

GPS端末の持ち込みを認める学校も出てきました。奈良学園小学校(奈良市)は昨年9月、保護者への推奨を決め周知しました。きっかけは同6月の大阪北部地震です。地震発生時に児童は既に登校していましたが、私立小のため通学区域は広範にわたり、保護者から「災害時に子どもがどこにいるか確認したい」との声が上がりました。校長は「子ども用携帯も許可制で認めていますが、GPS端末は子どもが負担なく持ち歩けることが大きいです。連絡が取れなくても位置が分かれば、大人が駆け付けられるのです」と話します。

GPS端末は警備会社などからも、さまざまなタイプが発売されています。発達の過程で子どもが親の目を離れた秘密を持つ経験がなくなるのを懸念する声はありますが、海外では子どもが1人で留守番することを法律で禁じる国もあります。愛知淑徳大の佐藤朝美准教授(教育工学)は、「小学校低学年は安全面の意識を育てる段階。何のために位置情報を把握するのか、対話のきっかけにして親の気持ちを伝えてください」とアドバイスします。

●説明し同意必要

早稲田大の棚村政行教授(家族法)によると、子どもの権利条約は子どもの意見表明権やプライバシーを侵害されない権利を認めています。「親がコントロールする権利は、子どもが自身で判断できるようになれば小さくなります。端末を持つことを子どもにきちんと説明して同意を得る必要があります」と指摘しました。


毎日新聞生活報道部

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※掲載されている情報は2019年4月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。