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食中毒 加熱・冷蔵でも注意


暑くなると気になる食中毒。原因菌を「付けない」「増やさない」「やっつける」が家庭での予防3原則です。加熱すればいい、冷蔵庫で保存すれば大丈夫――と思いがちですが、熱や冷温に強い食中毒菌もいるので注意しましょう。

2018年に全国で発生した食中毒は1330件、患者数は1万7282人(厚生労働省調べ)でした。患者の約9割の原因は細菌・ウイルスで、死者は出ていませんが重症化するケースがあります。

サルモネラ菌に感染する男性(イラスト)食品安全委員会によると、細菌やウイルスが起こす食中毒は「感染型」「毒素型」に大別されます。感染型で有名なのはノロウイルスやサルモネラ菌で、生きて体内に入り悪影響を及ぼします。黄色ブドウ球菌やボツリヌス菌などの毒素型は、食品の中で菌が人体に有害な物質を出すため、菌を取り込まなくても発症する可能性があります。どちらのタイプも動物の腸管内、土壌、河川などに広く生息し、農畜産物や魚介類から完全に排除するのは困難です。

●大鍋の底で増殖

食中毒菌は、一般的には熱に弱く、サルモネラ菌や腸管出血性大腸菌O157なら75度以上の熱を1分以上加えると死滅します。一方、熱に強い菌がいます。増殖に適さない環境になると「芽胞」と呼ばれる耐久性の高い構造に変わり、生き残れるためです。

梅雨時に食中毒が多発するウエルシュ菌は、その一つです。カレーや煮物のように大鍋で作る料理で増えやすいのです。煮ている間に芽胞ができてしまうと沸騰させても死なず、冷めた鍋の中、あるいは体内で細菌に戻ります。酸素が苦手な「嫌気性」なので、大鍋の底は増殖に適した環境です。

ボツリヌス菌も、嫌気性で芽胞をつくる性質があります。酸素がある時は芽胞になって耐え、酸素が少なくなると細菌に戻り増殖して毒素を出します。過去には真空パックの「からしレンコン」やサトイモの缶詰などで食中毒が発生しました。2017年には東京都内で蜂蜜を食べた生後6カ月の男児が乳児ボツリヌス症で死亡しました。毒素が多い状態で食べると大人でも危険があります。

熱には弱いが、冷蔵庫の中でも増えるのがリステリア菌です。塩分にも強いので、生ハム、スモークサーモンなどが原因食品になることがあります。発熱やだるさなどインフルエンザのような症状が出るのも特徴で、潜伏期間が1日〜数週間と食中毒にしては長いため、食品と関連付けるのが難しいのです。国内での発生例はわずかですが、特に妊婦や乳幼児、高齢者は注意が必要で、重症化すると髄膜炎や敗血症、流産・早産の原因になります。

調理前に野菜の汚れをよく洗おう!(イラスト)食中毒菌は目に見えず、増えても味は変わりません。同委員会は「特にカレーのような大鍋の料理は、鍋の中全体に十分火が通るようにぐつぐつ煮る」「心配な時は生ものを食べるのを避ける」といったアドバイスをしています。

●小分けし急冷

家庭での対策は、(1)調理前=手や器具、野菜の泥汚れをよく洗う(2)調理中=生ものと加熱調理するものを分けて扱い、しっかり加熱する(3)調理後=保存する際は小分けにして素早く冷やし、鍋ごと冷蔵庫に入れるのは避ける――です。口に入る菌の数をゼロにするのは難しいのですが、できるだけ減らすことが感染リスクの減少につながります。


毎日新聞くらし医療部

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※掲載されている情報は2019年7月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。