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障害者手帳 スマホで提示


障害者手帳をスマートフォンで代用――。障害者や高齢者への接し方を通じて普遍的な心遣い「ユニバーサルマナー」を提唱する会社「ミライロ」(大阪市)が、障害者手帳の情報を画像データにして取り込み、手帳代わりに使えるスマホアプリを開発しました。既に交通とレジャー関連の計9社が協力企業として名乗りを上げています。約70年の歴史のある紙の障害者手帳を電子化し、障害者の行動の自由を広げようという取り組みが加速しています。

取り出す手間がかかる障害者手帳(イラスト)●取り出す手間軽減

「これを見てください」。7月末、西武新宿線高田馬場駅(東京都新宿区)を、都内に住む足が不自由な男性(34)が車椅子で訪れ、切符売り場窓口の職員に窓越しにスマホをかざしました。アプリ「ミライロID」は、撮影した障害者手帳の写真と、手帳の番号や交付日などの情報、氏名と年齢、さらに使用する車椅子の情報を表示することができます。同社サイト(https://mirairo-id.jp/)を通じて無料で取得が可能です。西武鉄道は、これを障害者手帳の掲示とみなし、割引などのサービスを実施しています。

「手の不自由な人の場合、障害者手帳をかばんから出すのも苦労します。手帳の中身を窓口に並んでいる他の人に見られたくない人もいます。障害を持つ人にとって、プライバシーを守りながらスムーズに手帳の情報を提示できるのでありがたいです」と男性。西武鉄道は「障害のある方に少しでも便利に利用していただくため導入しました」と説明します。

障害者手帳は、障害者であることを証明するとともに、さまざまな福祉サービスを受けるのに必要ですが、ミライロが全国の身体障害者約400人に調査すると、約7割が「取り出すのが手間」と答えました。また、一連の調査ではページをめくらないと必要な情報が出てこない点、持ち歩くことで劣化する点などに「不便だ」の声がありました。紛失や偽造のリスクもあります。

障害者手帳を電子化!(イラスト)ミライロIDは、必要なページを写真に撮り、電子化することで持ち歩き、取り出す手間を軽減しました。スマホはロックがかけられるのでセキュリティー面でも安心感があるそうです。車椅子の仕様や大きさなどの情報を追加することも難しくありません。

●「20年五輪までに」

同社の垣内俊哉社長は、自身が車椅子ユーザーです。障害者手帳を取得して以来、「持ち運びに不便で何とかしたい」と考えてきたようです。垣内社長は「これが全国に広がれば、障害者の外出や行動をかなり自由にできると思います。世界中から障害を持つ人が集まる2020年五輪・パラリンピックまでに、多くの交通機関などで使えるようにしたいです」と意気込んでいます。

現在、ミライロIDをサービス利用時に使えるのは、交通関係では西武鉄道と、日本航空▽嵯峨野観光鉄道▽日の丸交通▽西武ハイヤー▽西武バス――の計6社です。和歌山県白浜町でアドベンチャーワールドを経営するアワーズ社など遊園地、劇場などを運営する3社でも利用OKです。

ただ、鉄道の場合、例えば西武線内の回数券や定期券はミライロIDで買えますが、JRや地下鉄に乗り継ぐ切符を購入する場合は使えません。利便性が高まるよう、同社は協力企業を増やす呼び掛けを続けていくとしています。


毎日新聞くらし医療部

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