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かわいい服、どこが危ない?


見た目のかわいらしさや好みを基準に選びがちな子ども服。しかし、動きが活発で周囲に注意が行き届かない子どもにとっては、重大な事故につながりかねないデザインもあります。服に潜む危険について、子ども自身に考えるよう促す取り組みが始まっています。

服の紐が遊具に引っかかっていることに気が付かない男の子(イラスト)●リボンや長いひも

「車を降りる時に服のひもがドアに挟まって、そのまま発進されてしまったら……とっても怖いよね」。9月上旬、横浜市の保育園で開かれた「子ども服の安全講座」で、講師が園児に語りかけました。パンツの裾から垂れたひもが自転車に絡まって転倒する、フードから下がったひもが遊具に引っかかって首が絞まる――。こうした事例を紙芝居で紹介し、グループごとに話し合った。講師が歌に乗せて「どこが危ない? どうして危ない?」と問いかけると、子どもたちから「背中のリボンは見えないから危ない」「長いひもは引っかかりやすい」という声が次々に上がっていました。

車のライトなどを反射する「高視認性」の素材を使った服や雑貨も紹介しています。講師は「交通事故は小学校進学後、間もない時期に多い。夜はなるべく目立つ服を着ましょう」と注意を促しました。参加した女児(6)は「何となくかわいいと思ってフード付きの服を着ていた。家に帰ったらお母さんに伝えたい」と話していました。

講座は神奈川県が日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会(東京都渋谷区)の「標準化を考える会」に委託し、県内の保育園と幼稚園で昨年度から実施しています。同会は「子ども自身にも考えさせることで、安全に配慮された商品を主体的に選べるようになればうれしい」と期待しています。

●首回りや背面NG

インターネットの通信販売などで、国内外のさまざまな衣類が入手できるようになっています。同会は2011年、子ども服に起因する事故事例をまとめ、安全基準の制定を求めました。経済産業省は2015年、13歳未満の子ども服のひもに関する日本工業規格(JIS)を設け、首回りや背面などに垂れ下がったひもは付けられないとしました。

しかし、規格に沿うかどうかはメーカー側の判断に委ねられ、タグなどへの表記も義務付けられていません。同会はフードや装飾類の規格作りも求めましたが、盛り込まれませんでした。繊維製品の検査などを行う一般社団法人・繊維評価技術協議会の担当者は「業界団体に加盟しているメーカーは、ほとんどがJISを順守していますが、非加盟のメーカーや海外製品まではわからないのが現状。消費者自身が選択眼を持つことも必要です」と話しています。

シンプルイズベスト(イラスト)●過剰な装飾は不要

衣類が原因の事故が訴訟に発展したケースもあります。成人男性が、ダウンジャケットのフードに付いたひもの留め具が目に当たり白内障になったとして損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は2016年、メーカーに約4000万円の支払いを命じる判決を出しました。

同会が2013年に小中学生約130人に実施したアンケートで、フードが「好き」と答えたのが21%だったのに対し「嫌い」は29%、ひもは「好き」が14%に対し「嫌い」が42%でした。同会は「子ども自身も過剰な装飾は必要としていません。消費者が買わなければ危険な商品を減らすことにつながります」と指摘しています。


毎日新聞くらし医療部

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