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家電の長期使用にご用心


新しい家電に興味があっても、シニアほど「買い替えるのはもったいない」と思いがちではないでしょうか。長く使った家電は愛着もあって処分しにくいのですが、火災や事故の原因になりやすくなります。危険性や注意点を調べてみました。

東京都北区の女性は20年来使っている冷蔵庫をなかなか処分できないでいました。以前使った2台は8〜10年で買い替えたので昨年秋、量販店で下見をしてカタログも集めました。消費電力は3分の2に減るとわかっていましたが、野菜室の大きさ、棚の作り、掃除しやすさなど使い勝手で勝る製品が見つからず、様子を見ることにしたのです。長期使用のリスクは聞いたことがあり「説明書を読み販売店に注意点を確認し、コンセント周辺や排水の受け皿を掃除しています」と言います。

●経年劣化で事故扇風機が火災の原因に!?(イラスト)

経済産業省の有識者会議は今年5月、高齢化社会での製品安全について調査報告をまとめました。過度に長期間使った製品は部品や材料の劣化から火災・事故の恐れがあるため「しっかり点検・補修された場合を除き、『まだ使えるからもったいない』と考えるべきではない」と注意喚起しています。

製品ごとに調べると、どの製品も高齢者は他の世代より長期間使う傾向にありました。報告書は、体の衰えや注意力低下が誤使用、死亡事故につながりやすい▽リコール情報は新聞・テレビ・雑誌より企業のホームページに載ることが多く、高齢になるほど目に触れにくい――とも指摘しました。取扱説明書を通読する高齢者の割合は中・壮年より高いが、まったく読まない人も約1割いました。

高齢化で経年劣化事故は増える可能性があります。消費者庁が8月に注意喚起した事例では、45年以上使われた扇風機が火災の原因になっていました。報告書の提言は、高齢者自身や周囲の人には常に注意を払うことを求めました。企業や販売店には、具体的な注意喚起に加え、古い製品を店で回収することやレンタルの仕組みなど、高齢者が代替品を入手しやすい環境づくりを要請しました。経産省の製品事故対策室は、地域の高齢者と接する機会の多い介護関連の団体と協力し、注意を促す方法を模索しています。

●配線、汚れも要注意

一般財団法人家電製品協会は、製品事故や修理・回収の情報がすぐわかるように、企業が自社のホームページで「お知らせアイコン」を使うことを推奨しています。トップページのマークをクリックすると閲覧できます。

同協会によると、高齢者に見られる危険な使い方で特に多いのは、@コンセントに複数の製品をつなぐ「たこ足配線」Aコンセントのほこりなどを定期的に掃除せず放置B電源コードを束ねたり、巻いたりして使用――です。「エアコンの専用コンセントを使わず延長コードでつなぐ」「コードの上に物を置く」「電気カーペットの上で睡眠」「電子レンジ庫内の汚れ」も要注意です。

家電は、地震に備えて専用の金具やベルトで転倒防止することも必要ですが、水害で水をかぶった場合には、自己判断で電源を入れることも避けたいところです。同協会はメーカーや販売店にポイントを聞いて、異常がないか確認してから使うよう呼びかけています。

親子で一緒に試してみよう(イラスト)●親子一緒に試して

高齢者とその子世代を対象にした冊子発行など情報提供をしている「オヤノコトネット」(東京都新宿区)の大澤尚宏代表は「親子のコミュニケーションも大切」と助言します。

子どもが最新の大型洗濯機を贈ったが、衣類を取り出そうとしても手が届かず、転倒した例もあるからです。一方、電気代を気にして古いエアコンの使用をためらって熱中症にかかる高齢者もいるため、子ども世代は買い替えで消費電力が減ることなどを伝えるといいでしょう。大澤さんは「高齢者に新しい製品は使いこなせないという思いこみも禁物。興味はあっても店の話をうのみにできないという心理が働く人もいます。親子で一緒に試してみるのもお勧めです」と話しています。


毎日新聞くらし医療部

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