お役立ち情報/情報ものしり帖


みんな必要? 保育園の昼寝


昼下がり、各地の保育園には静かなひとときが訪れます。昼寝の時間となり、0〜5歳児の子どもたちは各部屋で1〜2時間程度の眠りに就くからです。保育園では当たり前とされてきた光景ですが、近年、年齢が上がった4、5歳児の昼寝をやめる園が出てきました。「3歳以上になると昼寝を必要としない子も出てきています」と専門家は指摘しています。

夜更かしする女の子(イラスト)●夜更かし助長も

ある夏の午後、東京都足立区のこども園では、給食を終えた4、5歳児クラスで遊びの時間が続いていました。この日は地域の外部講師を招き、手品や手遊びを約1時間教えてもらいました。その後はブロックや絵本、お絵描きなど、それぞれが好きな遊びをします。その間、0〜3歳児クラスの子どもたちは、別の部屋で昼寝をしていました。

同区は「昼寝が夜更かしにつながる可能性があります」として2011年度、区立保育園やこども園の5歳児クラスで昼寝を中止しました。2年後からは4歳児クラスもやめました。預かり時間が長かったり体調が悪かったりする子どもについては、個々の状況に合わせて休息を取っています。園長は「4、5歳児になると体力もついてきて、昼寝の必要がない子もいます。昼寝の時間だからといって、じっとしているのはその子にとって苦痛。一人一人に合わせた対応をしています」と説明しました。

同園では、4歳児クラスに上がった当初は、午後になると眠くなる子もいます。約2カ月たつと体が慣れ、ほとんどの子が昼寝なしで遊べるようになるそうです。園長は「昼寝をしないようになり、子どもたちが遊び込める時間が増えました。午前中の活動の続きを午後に継続することもできます」と利点を強調しています。

昼寝は個人の状況に合わせて(イラスト)●多くの園は「日課」

多くの保育園は日課として、給食後に1〜2時間の昼寝を取り入れています。園によっては5歳児について、就学が近づく秋以降、徐々に昼寝の時間を減らすケースもありますが、昼寝を完全になくす時期は短期間です。

2018年4月、約10年ぶりに改定された保育所保育指針には「在園時間が異なることや、睡眠時間は子どもの発達の状況や個人によって差があることから、一律とならないよう配慮すること」との文言が盛り込まれました。新指針について厚生労働省は「3歳以上児においては、保育時間によって午睡を必要とする子どもと必要としない子どもが混在する場合もあります。午睡の時間に安心して眠ったり、活動したりできるように配慮する必要があります」と解説しています。

改定に関わった国立青少年教育振興機構の鈴木みゆき理事長は「昼寝は個人の状況に合わせて行うべきですが、一律に行うところが多いのが現状です。保育現場に指針の考え方を普及させる必要があります」と話しています。

●「見直し」就学前に

子どもの睡眠に詳しい江戸川大の福田一彦教授(睡眠心理学)によると、米国立睡眠財団が2004年に行った調査では、3歳の43%、4歳の74%、5歳の85%が昼寝をしないという結果でした。福田教授が2012年に足立区の子ども約2600人を対象にした調査でも、3歳で7割、4歳で8割、5歳で9割の子どもが昼寝をしていませんでした。福田教授は「発達段階に合わない不必要な昼寝は、子どもの夜更かしを助長します」と警鐘を鳴らしています。

また、子どもの就寝時間を調べたところ、昼寝をする子はしない子に比べ30分〜1時間遅くなっていました。昼寝をしなくなる小学校入学後も、保育園出身の児童は幼稚園出身の児童より就寝時間が10〜15分遅くなっていました。登校渋りや朝の機嫌の悪さは元保育園児の方が多く見られるといいます。福田教授は「昼寝の強制は生活習慣に大きな影響を与え、小学校中学年ごろまで続く可能性があります」として、就学前から昼寝の習慣を見直すように呼びかけています。


毎日新聞くらし医療部

Copyright© 2003 - 2019 Kyoei Fire&Marine Insurance Co.,Ltd. All rights reserved
※掲載されている情報は2019年10月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。