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食品の商品名、大げさかも


「玄米パン」「青汁」など、健康によさそうな食品は、今も昔も人気です。メーカーはこうした特長を名前に付けたがりますが、商品名には原料表示のような詳細な法規制がありません。看板に偽りがないか、チェックする習慣をつけましょう。

ネーミングにだまされてます(イラスト)●「全粒粉」2%だけ

消費生活アドバイザーで「健康食品・サプリ そのネーミングにだまされてますよ」(ワニブックス)の著書もある若村育子さんは、家でこんな体験をしました。

夫が食パンを買ってきました。山崎製パンの「ダブルソフト全粒粉」です。小麦粉が小麦の内側の白い部分だけを使うのに対し、全粒粉は表皮も含み、たんぱく質や食物繊維などの栄養分が多いとされます。

ですが、商品名のすぐ下の小さい表示を見ると、全粒粉の含有割合は全体のわずか2%です。夫は全粒粉という商品名から「体にいいと思った」が、割合は確認していませんでした。自分でパンも焼く若村さんは「商品名にするなら50%程度、『全粒粉入り』と書くのでも20%程度は入っていてほしいですね」と注文を付けています。

業界団体の日本パン工業会によると、全粒粉やライ麦を名前につけたり、「〜入り」のように強調して表示したりするのに「使っている穀類の何%以上」などのきまりはないそうです。業界で含有割合を表示するとの自主基準を設けたものの、非表示の商品も多く、どの程度が主流なのかの比較は難しいのが実情です。

ただし、行政が「消費者の感覚と大きくずれている」と判断すれば、不当表示とみなされる場合もあります。

消費者庁は2010年、コシヒカリやあきたこまちといったブランド米粉の使用をうたった「純米クッキー」が、実際は米粉がごくわずかしか含まれていなかったとして、販売業者に行政処分を科しました。「商品名を見れば、消費者は主原料が米だと考えるのが当然なのに、それが著しく少なかったのは景品表示法の『優良誤認』(実際より優れたものだと誘引する表示)に当たる」との認定です。

●業界の自主規制も

日本パン工業会の中峯准一専務理事も「消費者の声が大きくなれば(商品名に)基準を設ける検討をする可能性はあります」と話しています。過去にそうした例はあり、「バターロール」には1994年になって初めて「バター由来の乳脂肪分2.5%以上」という自主基準が作られました。2.5%未満の商品には、今は「テーブルロール」「ロールパン」などの名が付いています。

業界団体の自主基準がない分野の商品もあります。例えば「青汁」。伊藤園の「毎日1杯の青汁(無糖)」の原材料で最も多く含まれるのは水溶性食物繊維、カゴメの「AOJIL(アオジル)」ではニンジンです。両社とも、青汁と称する飲料には大麦若葉やケールなどの緑色野菜を入れていますが、配合割合は公表していません。

青汁は含有量が少しでも味が強いので、商品名で強調しておかないと消費者が驚くという面もあります。日本果汁協会の内山純一主幹は「商品名は自由度が高い分、企業の責任は重くなります」と指摘しています。

食品表示をチェック!(イラスト)●消費者側の工夫

こうした時に頼りになるのは、法に基づく食品表示です。パッケージの決められた枠内に、原料▽添加物▽アレルギーの原因物質▽原料原産地――などが書かれ、「原料の表示は重量が大きい順」「原料と添加物は間に/(スラッシュ)を入れて分ける」といったルールもあります。これを知っておけば、商品名に惑わされずに済むかもしれません。

一般財団法人・消費科学センターの犬伏由利子理事は「原材料の欄である程度推測できるので、その上で知りたいことは企業に聞くといいでしょう。消費者自身が選択のための目を持つことが必要です」と助言しています。


毎日新聞くらし医療部

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