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数独 手作りにこだわり


日本語なのに、世界で通じる数字パズル「数独(SUDOKU)」。「朝から数独」のタイトルで2017年3月27日に毎日新聞朝刊で掲載が始まってから、1月22日で1000回を迎えました。夕刊掲載の「毎日数独」も既に3500回を数えます。人気の秘密に迫りました。

世界で通じる数独(イラスト)●制作者6〜7人

数独は、東京都中央区にオフィスを構える「ニコリ」が制作しています。玄関に飾られていたのは、月や曜日が英語で記載された海外向けの「数独 日めくりカレンダー」です。各国の空港や書店で数独を見たという声や、ネット交流サービス(SNS)での投稿から、ニコリは「約100カ国には普及したのではないでしょうか」とみています。社員23人のうち、数独を含むパズルを制作しているのは6〜7人。耳をすますと、紙の上をペンが走る音が聞こえてきます。1日に数問仕上げられることもあれば、1問の完成までに数日かかることもあるそうです。

●カップルも誕生

「コンピューターで作ることもできるが、社員のほとんどはファンの気持ちになって、解く過程を楽しめるように手作りにこだわっています」と広報宣伝担当の荒井奈緒さん(40)と強調します。このほか「作家」と呼ばれる社外の約100人が創作問題を売り込んできます。社内審査を経た問題は、春と秋に出版している「数独通信」などで紹介されています。

ニコリは1983年の創立以降、日本経済の浮沈はあっても、年商約3億円を水平飛行しています。鍜治真起社長(68)は「景気が良くても悪くてもパズルくらい気軽に楽しみたい、という人が多いためではないでしょうか」と語りました。

荒井さんが大学を卒業したのは就職氷河期のさなかでした。応募した数十社が全て不採用となり、ニコリの門をたたいたのです。学生時代から作家として活動し、実力は折り紙付きだっただけに即採用でした。そんなタイプの社員が多いサークルのような会社で、問題を約30年間作り続けている副社長の安福良直さん(52)も「作家・押しかけ組」です。荒井さんは公務員の夫との出会いも作家同士の交流会で「私の人生は数独に救われてきました。他にも数独カップルはいますよ」と笑顔を見せました。

数独は、縦横9列の正方形のマスに、同じ列や縦横3列のブロック内で重複しないよう1〜9の数字を埋めていくパズルです。原点はスイスの大数学者、レオンハルト・オイラー(1707〜83年)にさかのぼります。オイラーはn×nのマス目をn種類の記号で埋める際、一つの行や列で同じ記号が重ならないように並べられるのかという「ラテン方陣」の研究に取り組みました。

1979年、米国で「ナンバープレース」という数独の原形が編み出されました。その5年後、鍜治さんが1桁(シングル=独身)の数字を使うことから「数字は独身に限る」とのタイトルで紹介したことで、略称の「数独」が定着しました。2006年には「SUDOKU」がオックスフォード英語辞典に収録されました。手作りにこだわる(イラスト)

見た目の美しさにもこだわりがあり、最初からマスに書かれている「ヒント数」は、中央のマスを軸に対称形に配置していました。実は鍜治さんが最初に作った問題は対称形ではありませんでしたが、社内外の意見を参考に、ほどなく今の形に落ち着いたそうです。

●問題数66垓以上

問題が尽きることはないのでしょうか。「9×9」の数独について、独英の研究チームは「(すべてのマス目が埋まった)解は10の21乗の6.67倍ある」と報告しました。単位で言うと、億・兆・京の上の「垓」です。

ニコリの年間制作数は約3700題。これまでに約5万題を世に送り出したそうです。安福さんは「今後も過去問を再使用せず新たな問題を出題し続けていきますが、尽きる心配も当面ありません。ただ、ファンも目が肥えています。高い質を維持できるかどうかが問われています」と気を引き締めていました。


毎日新聞くらし医療部

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