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迷惑なこもりスマホ


迷惑なこもりスマホ(イラスト)公共トイレの個室でスマートフォン(スマホ)を使い、用を足した後も居座る「こもりスマホ」が増えています。歩きながらスマホを操作する「歩きスマホ」と同様、他人に迷惑を及ぼしかねません。

突然の腹痛。すぐにトイレに駆け込んだものの、個室が空いていません。待てど暮らせど先客は出てきません――。埼玉県和光市の男性会社員(31)は、こんな経験をしました。トイレの個室内からは、スマホ画面を指でたたくような音や動画の音声が漏れ聞こえてきました。やむなくその場を離れ、近くのコンビニエンスストアのトイレへ。事なきを得た男性は「公共トイレで他人に“不便”を押しつけるのはやめてほしいです」と憤りました。

●注意の張り紙掲示

毎日新聞東京本社や飲食店街があるパレスサイドビルディング(東京都千代田区)ではこうした“トイレ難民”からの苦情が相次ぎました。今年からトイレ壁面に「混雑緩和のため、トイレ内でのゲーム・スマホ利用はお控えください」と張り紙を掲示しました。

住宅設備機器メーカーのTOTO(北九州市)が昨年8月に実施した「オフィストイレの水まわりに関する調査」で、こもりスマホの実態が浮かび上がりました。自宅以外で働く男女1041人に「オフィストイレの大便器ブースの中でしたことがある用足し・身づくろい以外の行為」を尋ねたところ、約4割が「携帯電話・スマートフォン・タブレットを使用すること」と回答したのです。メールやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の確認、ウェブ閲覧などが多かったです。

また、中日本高速道路東京支社は、2007、14、18年度に管内のサービスエリアやパーキングエリアの男女トイレで個室利用時間を調査。扉の開閉を感知するセンサーで調べたところ、男子トイレの個室利用時間が07 年度の3分29秒から、14年度4分4秒、18年度4分24秒と着実に延びていたのです。同社は混雑緩和のため、男子トイレの個室を増やすなどの対策を講じています。

痔の誘発リスクも(イラスト)●痔の誘発リスクも

トイレの混雑だけではありません。平田肛門科医院(東京都港区)の院長は、こもりスマホについて医学的な見地から注意を呼びかけます。トイレに長居する傾向が習慣化すると、痔(じ)を誘発するリスクも高まるといい、患者には「トイレにいる時間は3分まで。生活習慣を変えない限り、痔を繰り返す」と忠告します。また、麻布大の古畑勝則教授(微生物学)は衛生面から「スマホは今や生活必需品と言えるが、トイレに持ち込むことで病原微生物の感染経路になり得る」と指摘しています。

一方、こもりスマホをビジネスに結びつける企業もあります。インターネットサービスのバカン(新宿区)は、トイレの個室が空いているかどうかをセンサーで感知し、リアルタイムで表示するサービスを開発しました。電子看板を設置し、空いているトイレへ誘導する仕組みです。1日平均約10万人が来店する大丸東京店(千代田区)などで稼働しており、バカンの社長は「スマホの普及でトイレの混雑はどこでもあり得るのです。空室に効率良く案内して快適にしていきたいです」と話します。

バカンはこもりスマホによる長居を踏まえ、一定時間が経過すると個室内に現在の滞在時間を表示するサービスを検討中です。「スマホや本を眺めて、ついトイレにこもってしまう人の善意に訴えたいです」と話しています。


毎日新聞くらし医療部

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