お役立ち情報/情報ものしり帖


在宅配食サービス 持病で食事制限、柔軟対応


お弁当やお総菜、調理用食材を個人宅に届ける在宅配食サービスの利用者が増えています。内臓疾患を抱える人向けに栄養素や成分を調整した食品を提供したり、食事に関する相談に応じたりと、お年寄りを見守るサービスも出てきました。

「利用者からの相談を受けるうちに、糖尿病などの持病を抱えて『どんな食事をしたらいいか』と悩んでいる人が多いことが分かりました」。食品宅配会社「ウェルネスダイニング」(東京都江東区)で広報を担当する村上ひかりさんは話します。

料理キットを確認する女性(イラスト)ウェルネスダイニングは、お弁当やお総菜、カット済み食材が入った「料理キット」を提供しています。糖尿病や腎臓病などで食事制限が必要な人向けの商品が主力です。2011年に事業を始めて以降、今年1月末までに累計で約1200万食になりました。現在は月に約20万食を届けています。

メニューは全て管理栄養士が監修しているのが特色です。食事に関して利用者から電話で相談があると、在籍している十数人の管理栄養士が対応します。村上さん自身も管理栄養士で、ウェルネスダイニングでは、こうした電話相談を重視しています。朝食と昼食に何を食べたかメニューを挙げて「このメニューで大丈夫でしょうか」と利用者から聞かれることもあります。腎臓の機能低下によってカリウム制限の必要がある場合、どの食品にカリウムが多いかなどの基礎的な知識を求められました。

「病気で食事制限が必要になった時、日々の食事をどうしていくのかに頭を悩ませる利用者の生活を支えたいと考えています。電話相談では、食品に関すること以外に世間話をすることもあります。親身に対応するよう心がけています」と村上さん。コミュニケーションは新たな商品の開発にもつながるそうです。今年から始めた制限食の料理キットは、「手軽で手作り感のあるものがほしい」という声をきっかけに商品化されました。

利用者の年代の多くが40〜60代です。食事制限のメニューには、糖尿病、腎臓病の人向けに糖質や塩分などを抑えたもののほか、カロリーや栄養バランスを整えたものがあります。冷凍で届けられるために日持ちし、フライパンや電子レンジで調理することによって、食べる時間も選ぶことができます。このため、準備に負担のある妊婦や単身赴任の会社員、さらには、離れて暮らす高齢の親に向けた子どもなど、さまざまな層で使われています。

一方、食品を届ける際の「見守り活動」に力を入れている会社もあります。居酒屋などの外食チェーンで知られる「ワタミ」(東京都大田区)は、全国の約200自治体などと協定を結んでいます。

お弁当を届けて利用者の安否確認(イラスト)ワタミは高齢者向けの食品宅配大手で、利用者の平均年齢は70代半ばです。2008年から参入し、北海道や沖縄県などを除く全国500カ所以上で営業所を展開し、1日当たり約23万食を提供しています。宅配事業の中でも、夕食用に管理栄養士がメニューを考案したお弁当やお総菜を「まごころスタッフ」が毎日届けるサービスが主力です。約7700人いるスタッフは、それぞれが担当を決めているため、利用者の心身の変調に気がつきやすいそうです。江戸川松江営業所(東京都江戸川区)の小倉朋也所長は「利用者の安否に関わるような事態は、月1回はあります」と話しています。

市場調査会社「矢野経済研究所」によると、食品の宅配サービスを利用する人は増え続けています。在宅配食事業のほか、生協の個人宅配や宅配ピザ、ネットスーパーを含む8分野の2018年度の市場規模は、推計で前年度比2.8%増の2兆1399億円です。少子高齢社会の進行に伴って外食産業が伸び悩む中で堅調に推移し、2016年度以降は2兆円に達しました。

少子高齢、核家族、そして「孤」の時代――。そんな社会状況を背景に「食事を制限したい」「食事を作る負担を減らしたい」という需要は高まり続けています。在宅配食サービス事業は今後も伸びそうです。


毎日新聞くらし医療部

Copyright© 2003 - 2020 Kyoei Fire&Marine Insurance Co.,Ltd. All rights reserved
※掲載されている情報は2020年4月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。