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シニア向け写真館人気


映画女優になりきって変身したい、生きているうちに納得できる遺影を残したい――。そんなシニア女性に狙いを定めた写真館が人気です。人生の節目を記録するだけでなく、自分を鼓舞するために利用する女性も多いようです。

東京・丸の内にあるフォトスタジオ「オプシス」には、「奇跡の1枚」が撮れるとうたった「変身写真」を目当てに多くのシニア女性が訪れてきます。埼玉県三郷市から長女(30)と連れ立ってやって来た女性会社員(50)もその一人です。50歳の記念にと女友達に誘われて以来、「出来上がりを見た友達が『自分もやりたい』と次々についてくるようになりました。これで5回目になります」と笑顔を見せました。

ビフォーアフター(イラスト)メニューは「エレガンス」「ロマンティック」など6種類あります。母娘は映画女優になりきれる「セレブリティ」を選び、「マイ・フェア・レディ」と「ティファニーで朝食を」で主演したオードリー・ヘプバーンに扮することにしました。

つけまつげを重ねたり鼻筋やまぶたに入念にシャドーを入れたりと、1時間以上かけてヘアメークが完成します。吉田有輝子店長によると、衣装や小道具のインパクトに負けないようあえて濃くしているそうです。「シワなどをリタッチ(デジタル画像の修整)すると不自然なので、ほとんどしない」と説明していました。別人になりきれるからか、カメラマンからの注文に応えて2人は堂々とポーズを取っていました。親子は「人に見せるためというより自己満足。きれいに撮ってもらうことでポジティブになります」と目を輝かせていました。

オプシス社長の黒崎正子さん(60)は23年前、米西海岸で人気だった変身写真の手法を持ち帰って開業しました。写真館は成人式の前撮り、子どもの七五三といった人生の節目で利用されることが多いのですが、「女性なら誰もが持っている変身願望をかなえたい」とヘアメークをセットにした撮影を始めました。料金は1万円台からで、現在は東京と大阪に4店舗を展開しています。年約1万5000人の利用者のうち半数がシニア女性です。末期がんの女性やつえをついた女性も明るい表情になって帰って行きます。「写真を見てまだいける、明日もがんばろうと元気になってもらえたらうれしいですね」と話していました。

2人の写真を見る夫婦(イラスト)「お年寄りの原宿」と呼ばれる東京・巣鴨では、シニア専門の「えがお写真館」が人気を集めています。菅原恒昭さん(82)、ミチ子さん(76)夫婦は秋田市から遺影撮影のために訪れました。きっかけは、約3年前にミチ子さんの母が亡くなった際、若い頃の写真しかなく遺影を探すのに困ったことでした。川崎市に住む長女の菅由美子さん(51)が「2人が元気なうちに」とプレゼントしました。ミチ子さんは「2人で撮影するのは結婚式以来。自分ではできないような化粧をしてもらい、良い写真ができた」と満足そうでした。

「遺影というと昔は暗いイメージでした。最近は終活ブームの影響か、生前に納得できる写真を残したいと前向きに捉える人が増えています」。6年前にえがお写真館をオープンした太田明良さん(40)は説明しています。シニア女性向けの美容室と洋品店、ネイルサロンも経営しており、ヘアメークやファッションなどトータルでスタイリングを行うサービスを希望する人も増えています。料金は3万〜5万円程度です。全国から予約が入り、売り上げは当初の20倍に増えました。「シニアをきれいに見せることに特化したサービスは意外と少ない。そうした需要が集中しているのかもしれない」とみています。


毎日新聞くらし医療部

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