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改札前に復活した伝言板が人気 コロナ禍の中、乗降客が思い思いにチョーク握る


あなたの伝えたい思いを書いてください――。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休校や外出自粛が長引く中、少しでも明るい気持ちになってもらおうと、横浜市神奈川区のJR東神奈川駅に伝言板が設けられています。今の気持ちやコロナ禍終息後にしたいことなどを好きに書いてもらって思いを共有し、閉塞(へいそく)感を和らげようとする試みです。かつてどこの駅でも見られたものの、携帯電話の普及で姿を消した伝言板。復活を発案した若手駅員に思いを聞きました。

伝言板に書き込む女性(イラスト)●若手駅員たちが黒板再現

「来年は横浜パレードを見に行く!」「普通の大切さに感謝」「早く皆に会いたい」

5月3日、普段は大型ポスターが掲示されているJR東神奈川駅の改札口に設けられた伝言板(縦約0.7メートル、幅約4メートル)には、乗降客の思い思いのメッセージが書かれていました。発案者の一人で東神奈川駅員の本間美咲さん(24)は「手書きの温かみが新鮮で、どんな方がどんな思いで書かれたのかを想像すると楽しくなります」と話します。

伝言板は、コロナ禍による不自由な生活が続く中で、入社3年目の本間さんら若手駅員が乗降客や近隣の住民を元気づけることができないか思案し、先輩社員のアドバイスを受けて復活させたものです。かつての伝言板は木や金属製だが、本間さんたちは100円ショップで購入した黒板素材のシールを貼り合わせて再現し、メッセージを6時間後に消す運用も踏襲しました。白、黄、ピンク色のチョークは備え付けのティッシュを巻いて使ってもらい、消毒液も備えて感染予防に配慮しました。4月30日に設置され、夏まで自由に書くことができます。

●“アナログなSNS”

伝言板は、乗降客間で待ち合わせ時間や行き先変更などの連絡に使ってもらうため、旧国鉄の内規などで全駅での設置が定められていました。ですがJRへの民営化前に規定がなくなったことに加え、1990年代に携帯電話の普及が進んだことから、伝言板の老朽化や駅改修を機に多くの駅で廃棄されました。JR東日本横浜支社によると、神奈川県内でも残っている駅はほぼないといいます。

JR西日本大阪支社の99年の調査によると、管内147駅のうち伝言板が残っていた6駅では、恋心を伝える「○○さん好きです」など本来の目的外の使われ方をしていたといいます。東神奈川駅での復活は、当時は問題視された、本来の用途とは違う使われ方に着目した形です。伝言板の上のスペースには「想(おも)いや希望を共有することで閉塞(へいそく)した雰囲気が和らぐと思い設置しました」「皆さまが笑顔で過ごす日々が戻ることを信じています」との駅員の思いが掲げられています。

本間さんとともに伝言板復活に参加した入社3年目の駅員、成田昌睦(まさのぶ)さん(22)は、伝言板を「見たことがない」ものの、「チョークで文字を書くアナログなところが『ほっこり』するし、人と人を結ぶSNSの要素もあると思う」と話しています。ツイッターでは「駅員さんも粋なことするな」「ネットやテレビでしか見た事なかったものが令和の時代に復活するとは……」と好意的な投稿が相次いでいます。

「アマビエ」のポスターを眺める男性(イラスト)●「アマビエ」ポスターも

横浜市西区のJR横浜駅では今月下旬まで、妖怪「アマビエ」を描いた手作りポスター40枚が構内の階段などに掲示されています。アマビエは、江戸時代に現在の熊本県の海から現れたとされる妖怪で、新型コロナの感染拡大を受けてSNSなどで話題になり、厚生労働省も感染拡大防止を呼びかけるキャラクターに起用しています。ポスターには、「ホットヨガに行きたい」「青森のかあちゃんに会いたい」など若手駅員のメッセージも添えられており、JR東日本横浜支社の広報担当者は「ポスターから駅員の思いに親近感を抱いてもらい、皆さんが少しでも前向きに生活できるきっかけになれば」としています。


毎日新聞統合デジタル取材センター

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※掲載されている情報は2020年5月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。