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大人もオンライン学習


新型コロナウイルスの感染拡大で在宅勤務の機会が増え、社会人向けのビジネスに役立つ講義の動画をインターネットで視聴するオンライン学習が人気です。利用者数が前年比で5倍以上に増えたサービスもあります。多くの企業では通常勤務に戻りつつありますが、これを機に自身の能力向上に取り組む動きが広がりそうです。

以前は通勤時間(イラスト)「移動時間が減った分、学習に充てています。スマートフォンで気軽に受講でき、仕事や独学で得たスキルの復習にもなります」。IT関連企業に勤める男性(30)は、業務のため滞在中の米ボストンで外出規制が厳しくなり、4月からオンライン学習を始めました。1本5分程度の動画を2700本以上視聴でき、料金は6カ月で約1万円。論理的な思考方法について講師が説明する動画を主に視聴しています。

男性が利用するサービスは、ビジネススクールなどを運営する「グロービス」(東京都千代田区)が提供しています。5月時点の会員数は2月と比べて4万人以上増え、10万人を超え、国内で緊急事態宣言が全面解除されて以降も会員数は順調に増加しています。担当者は「自宅で過ごす時間が延び、社会人がキャリアアップのための『学びの一歩』を踏み出している」と話しています。

オンライン学習を手掛ける「スクー」(東京都渋谷区)では、3月と4月の月間利用者数が前年比で5倍に増えました。特に在宅勤務が午前10時に始まる社会人らを対象にした「仕事前に参加する授業」(月曜午前9時から)が人気を集め、手帳の活用法や商談での打ち解け方といった技術を伝えています。金融関連企業の社員教育の一環として受講する30代女性は「自身が苦手と感じているスキルを補える」と感想を語りました。

これからは学習時間(イラスト)矢野経済研究所が4月末に発表した推計では、オンライン学習の2020年度の国内市場規模は前年度比4.5%増の2460億円になる見込みです。ただ、自分1人で挑むオンライン学習には「やる気」を維持する難しさが付きまといます。一般社団法人が運営し、大学教授や企業の専門家による講座を無料で公開する「JMOOC(ジェイムーク)」では、数時間視聴してリポート提出などの課題に合格すれば「修了証」をもらえますが、合格者は受講者の10%前後に過ぎません。

新型コロナの感染拡大に伴う行動変化に詳しい野村総合研究所の武田佳奈上級コンサルタントは「オンライン学習に取り組む人には、自身で目標を設定、達成するデザイン力が求められます。国内企業もオンライン学習を活用して『開かれた人材教育』を進めるきっかけにすべきでしょう」と指摘しています。


毎日新聞大阪経済部

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※掲載されている情報は2020年7月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。