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夏を乗り切るマスクの工夫


例年以上に長かった梅雨が明け、本格的な夏が到来しました。しかし、新型コロナウイルスの感染は拡大の一途をたどっています。夏の暑さに負けない効果的な感染症対策とは?

炎天下の中マスクをする女性(イラスト)●布マスクの効果は

「通気性抜群」「冷感素材」――。最近、「夏用」をうたうマスクが販売されています。一般的な使い捨てマスクが不織布製なのに対し、これらの夏用マスクはポリエステルなどで織られた布マスクです。布マスクの中には「このマスクはウイルス対策には向きません」や「ウイルス防止の検査はしていません」といった表示のあるものもあります。不織布マスクと性能は違うのでしょうか。

大気中の微粒子の研究をしている慶応大の奥田知明教授は、それぞれのマスクが微粒子を捕らえる効率を調べる実験をして、その動画をネット上で公開しています。布マスクには政府が配布した「アベノマスク」を使いました。不織布マスクでは、ウイルスの大きさに近い直径0.3〜1マイクロメートルの粒子と、より大きい1〜10マイクロメートルの粒子のいずれも90%以上を捕らえましたが、布マスクは30%以下でした。

複数メーカーの布マスクで同様の実験をすると、一部の高性能な物を除いて政府配布のマスクとほぼ同じ結果でした。ただ奥田教授は「布マスクでも、口から放出される空気の勢いを弱めて飛沫(ひまつ)を遠くに飛びにくくするため、人への感染を防ぐ効果がある」と話します。

2メートル以上離れてマスクを外しましょう●密着させて着用

一方で「ウイルスを吸い込むことは、不織布マスクでも完全には防げない」と指摘します。マスクを顔に密着させて着用するのが難しいためです。奥田教授が学生に不織布マスクを着用させて調べたところ、吸い込みを防げたのは空気中の微粒子の半分程度でした。「マスクの素材に加え、顔にフィットするかが重要。自分が使いやすいマスクを着用するのがよい」と助言します。

蒸し暑い屋外でマスクをしていると、すぐに口の周りに汗が浮き、息苦しくなります。環境省と厚生労働省は「マスク着用により熱中症のリスクが高まる」として、屋外で人と2メートル以上離れている時はマスクを外すことや、マスクをしたままの激しい運動は避けることなどを呼びかけています。

●飛沫飛びにくく

新型コロナの感染力は夏になると変わるのでしょうか。湿度との関係が注目されがちですが、鳥取大の景山誠二教授(ウイルス学)は「気候の変化が感染力に及ぼす影響は少ない。むしろ夏は窓や戸を開放しやすく、換気がしやすいといった生活の仕方に影響を受ける」と指摘します。「口から出た飛沫は重たいため遠くまで飛びにくく、2メートル離れた相手に到達する可能性はほぼ無い。窓を開けた屋内ではすぐに飛沫が風で流され、さらに相手に届きにくくなる」と解説します。

北海道大人獣共通感染症リサーチセンターの高田礼人教授によると、一般的に温度が高いとウイルスを構成するたんぱく質の機能が弱まり、感染力が落ちます。紫外線に当たることでウイルス内部のRNA(リボ核酸)が損傷し、感染力が低下するといいます。

ただ、夏に新型コロナの感染力が弱まるとは言い切れないようです。景山教授は「イベントで人が密集するなど、気候以上に社会的要因が感染を広げる」と指摘します。高田教授も「『温度が上がったから大丈夫』とは絶対に言えない。夏も『3密』を避けることが大事だ」と話します。8月もすでに各地でクラスター(感染者集団)が確認されています。

また、マスクで飛沫を防げても、ウイルスのついた手で鼻や口を触って感染する可能性もあります。夏も手洗いを欠かさず、健康を管理することが大事です。


毎日新聞くらし医療部

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※掲載されている情報は2020年8月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。