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ビリヤードがシニア世代に人気


過去たびたびブームとなったビリヤード(イラスト)30年前のバブル期など、過去たびたびブームとなり、時代を彩ったビリヤードがいま、シニア世代の注目を集めています。街のビリヤード店やビリヤード台がある高齢者施設などで、いくつになっても楽しみたい、と元気な声が響きます。

9月のある日、埼玉県春日部市の高齢者福祉センターの20畳ほどのホールでは5人の男女がビリヤード台を囲み、4個の球を使う「四つ球」のゲームに熱中していました。

男性4人に交じり、ひときわ小柄な日暮(ひぐらし)綾子さん(98)がキュー(突き棒)で狙いを定めます。「コ、コン」と白球が赤球2個に続けて当たります。「うまいなあ」。仲間から歓声が上がります。さらに「コン」と音が響くと「ああ」と日暮さんが声を上げました。狙い球が外れ、照れ笑いを浮かべました。

元同市役所職員の日暮さんは福祉部門に所属していた50代の頃、センターの管理を担当。業務の一環でビリヤードのルールを学んで利用者に教えたり、一緒に楽しんだりするうち、趣味になりました。ビリヤード歴は半世紀近くになります。子育てや親族の介護を経て、今は1人暮らし。自宅から徒歩25分のセンターでキューを握るのが日課です。

日暮さんは「球のコースを考え集中する時間、指先までの緊張感が気持ちいい」と語ります。「毎日のビリヤードは健康のために生活リズムを作るのに役立つし、生きがいにもなっています」と充実した表情を見せました。仲間の服部秀二さん(75)は「思い通りに球が当たると跳び上がって喜ぶ姿がチャーミング。利用者や職員のみんなが日暮さんのファンです」と語ります。

次は新宿から快速で10分余、西荻窪駅近くの「ビリヤード山崎」(東京都杉並区)を訪ねました。1926年ごろの創業といい、日本ビリヤード協会(東京)によると、現在も営業中の店では「日本最古級」とみられるといいます。

シニア世代にPR(イラスト)50畳ほどの店内にはビリヤード台が4台あります。切り盛りするのは、5代目の平山道子さん(85)です。初代の伯父が当時、若者が働きながら学べる学問所の設立のため奔走し、国内有数の実業家、大倉喜八郎から資金作りにと店を寄贈されたのが始まり、といいます。後に父母らの後を継いだ平山さんも、小5からキューを手にしていました。「頭を使うし、球筋を見るために台の周りを歩くから、健康にもいい。うまく当たれば爽快です」ときびきびした動きで球を突きながら笑顔を見せました。取材時には、常連客の保坂大樹さん(29)が「中高年の常連さんがいて、いろんな話を聞ける」と、年代を超えた交流を楽しんでいました。

●シニア世代にPR

日本生産性本部の「レジャー白書」によるとこの1年に1回以上ビリヤードをした人は約260万人。バブル期に比べると愛好者は減ったが中高年層の人気は根強く、日本ビリヤード協会は生涯スポーツとしてもPRに努めています。

協会は、台周りを歩く軽度の運動に加え、目と手の動作の協調や球筋の計算による体や脳への刺激、対戦者ら同好者との交流なども含め心身の健康に役立つとしています。協会の担当者は「サッカーや野球などは高齢では楽しみにくくなるが、ビリヤードは何歳になってもできる。マイペースで楽しんでほしい」と語ります。


毎日新聞統合デジタル取材センター

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※掲載されている情報は2020年11月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。