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つぶやき、楽しみたい 世代超え、つながる


SNSを楽しむツイッターおばあちゃん(イラスト)新型コロナウイルスの感染拡大で家族や友人と対面する機会が減り、ツイッターなどのネット交流サービス(SNS)を積極活用する人が増えています。しかし、若者には活発に利用されるSNSも、高齢者には見知らぬ人との交流に抵抗感を抱く人が多いのではないか。そんなハードルを乗り越え、約9万人のフォロワーを持つ「ツイッターおばあちゃん」がいます。世代を超え、多くの人たちとつながるSNSの達人にその楽しみ方を聞きました。

「みなさんと常につながっていられるし、新しい知り合いもできる」。タブレット端末を片手に、溝井喜久子さん(86)が朗らかに話しました。5年ほど前、夫に先立たれました。いまは1人暮らし。それでも、「寂しいと思ったことはない」。数え切れない人たちとSNS上で対話しているからです。

衣食住、健康、暮らしの知恵――。つぶやくテーマは多岐にわたります。最近は、嫁しゅうとや「毒親」(子供に悪影響を与える親)の問題など、切実なテーマについても含蓄ある「おばあちゃんの知恵」を投稿します。「毒親」について1人がつぶやくと、同じ体験を持つ人が出てきます。互いの経験を書き込むうち、問題解決の方法を教えてくれる人が登場します。「昔もあった問題だろうが、情報が行き渡っていなかったので、みな1人で苦しんでいた。いろんな人の話を聞くと、実は自分もだ、と気づく人がいる」。人々がツイッターでつながる意義を痛感しています。

●戦争体験に反響

ツイッターを始めたのは2010年1月。友人からお金をかけずにイベントを告知する方法はないかと相談されたのがきっかけでした。当時は旧民主党政権。鳩山由紀夫首相がつぶやきを始めたことが話題になっていた時で、「これだ!」と思いました。

早速、ツイッターを始めてみました。ですが、イベントを周知するにも「フォロワーがいなければ意味がない」ことに気付きました。フォロワーをどうやって増やすか。考えた結果、自らの体験を、ありのままにつぶやくことにしました。

「米軍機の機銃掃射の弾が『ババババ』と目の前を走った」「弾に当たらなかったから、今、生きている」。戦時中の体験をつぶやき出したところ、3カ月でフォロワー数は5000人に。「若い人にこんなに関心を持ってもらえるとは」。あまりの反響に驚きました。

食事の写真をアップ(イラスト)ツイッターにアップする食事の写真も人気です。自炊して元気に暮らしていることを伝えようと、離れて暮らす息子たちに向けたメッセージとして始めたが、「つぶやきを止めると心配されるので、やめられなくなった」と笑います。ご飯、みそ汁、煮物といった質素なメニューが多く、「昭和の品が多いので、若い人には珍しいようだ」。昔あった「当たり前」の日常を、生き字引のように伝えるつぶやき。出版社の目にも留まり、これまでに2冊の本を出しました。

SNSになじみのない高齢者もツイッターを楽しめるか。最初は他人のつぶやきを読むだけでよいといい、「読んでいるうちにそれが蓄積され、書く材料になったりする」。フォローする人を選ばないのがコツで、「いろいろな人をフォローすることで、より多くの情報が入り勉強にもなる」と話します。

つぶやきを楽しみに待ってくれる人がいて、自らも他人のつぶやきから何かを学ぶ。SNS上のコミュニケーションが新しい生き方の指針を示しています。


毎日新聞経済部

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※掲載されている情報は2021年1月時点での情報であり、最新の情報と異なる場合があります。