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認知症リスクを点検


高齢になるにつれて、気になるのが記憶力や理解力といった脳機能の衰えです。認知症予防には、生活習慣の改善が有効だといいます。脳の変化にいち早く気づいて、早めの対処はできないか。そんな「脳の健康診断」を手軽にできるツールが相次いで登場していると聞き、取材してみました。

脳の健康度をチェック!(イラスト)パソコン画面に、トランプのカードが1枚ずつ、矢継ぎ早に表示されます。カードが赤の場合は「はい」、黒の場合は「いいえ」をクリックします。次のテストでは、画面に表示されたカードが既に一度出たカードなら「はい」、初めて出たカードなら「いいえ」を押します。記者も挑戦してみたが、次々とカードが出てくるのでつい間違ってしまいます。

これは製薬大手エーザイが今春に発表した脳の健康度チェックツール「のうKNOW」です。4種類のテストを約15分行い、脳の反応速度▽注意力▽視覚学習▽記憶力――をチェック。A〜Cの判定と脳年齢を示してくれます。認知機能の変化を早期につかみ生活習慣を改善することで、認知症予防につなげるのが狙いです。豪州企業が開発し、同国や米国、カナダなどの当局が医療機関の診断に使えるよう認可しました。国内でも自治体や脳ドック施設が導入したほか、エーザイが提供する無料アプリ「Easiit(イージット)」をスマートフォンにダウンロードし登録すれば、パソコンやタブレットで個人も使えます。

エーザイによると、認知機能をチェックするツールは世界に数百種類もありますが、主に症状がかなり進んだ段階で診断に使うため、年齢を聞いたり、たった今聞いた単語を繰り返したりするなど、簡単な内容が多いです。一方、のうKNOWは症状がないうちからチェックするため、変化を確認できるよう難易度に幅のある問題を出しているのが特徴です。同社担当者の神道美和さんは「定期的に実施することで、状態変化に早めに気付いてもらいたい」といいます。

SOMPOひまわり生命も今年1月から、同様のスマホアプリ「ニューロトラック 脳ケア」を試験的に無料提供しています。画面上に複数表示された図形から同じものを選んだり、移動する図形を目で追ったりするテストを通じて、認知機能を点検。生活改善項目を指摘してくれます。同社事業企画部(03・6742・2170、平日のみ)か最寄りの営業店に電話でメールアドレスを登録し、送られてきたURLからアプリをインストールする仕組みです。

軽い運動とバランスの良い食事東京都健康長寿医療センター脳神経内科部長の岩田淳医師によると、理解力、記憶力、判断力などの認知機能はほぼ誰でも50代ごろから衰えてきますが、その落ち方が激しいと認知症の疑いがあります。認知症の前段階である軽度認知障害の2〜3割は行動によって症状が改善するとみられており、1日30分のウオーキング程度の軽い運動▽禁煙▽野菜・果物、魚中心のバランスの良い食事▽飲酒しすぎない▽体重、血圧、血糖、脂質のコントロール▽知的活動・社会活動への参加――などが効果があるとされています。

岩田医師は「40〜50代の壮年期から定期的にチェックすれば、落ち込みを意識できる。そこで生活習慣を改善すれば機能の維持向上が期待できる」と指摘します。予防策は、いずれも健康維持にも役立つ内容です。チェックを、分かっていてもなかなかできない行動改善のきっかけにしたい。


毎日新聞くらし医療部

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