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変わりゆく「卒業」という言葉


3月は、日本では卒業式が行われる時期です。企業や官公庁でも年度末を迎え、慌ただしい月でもあります。さて、最近ではこの「卒業」という言葉が学校だけでなく、社会人の中でも使われ始めているようです。どんな変化があったのでしょうか?今回は変わりゆく「卒業」という言葉について、取り上げてみました。

卒業イメージ(イラスト)◆バブル全盛期に生まれた、3つの「卒業」ソング

「卒業」という言葉から連想するものは、世代によって大きく違うようです。シニア世代で「卒業」といえば、1968年(昭和43年)に公開された映画『卒業』を思い出す方も多いでしょう。ダスティン・ホフマン主演のこの青春映画は、日本でも大ヒットとなりました。主人公が結婚式場で花嫁を奪い去るシーンは、映画史に残るほど有名になっています。

シニア世代よりも少し後の世代にとって、「卒業」といえば、1975年(昭和50年)の荒井由実(現・松任谷由実)の『卒業写真』が印象に残っていることでしょう。歌詞の中に「卒業」という言葉を入れて、大々的なヒットとなったのはこの曲がはじめてかもしれません。80年代半ばになると、斉藤由貴の『卒業』がヒットします。また、同世代の菊池桃子も『卒業-GRADUATION-』という曲でヒットを飛ばします。この二つの曲は、興味深いことにどちらも1985年(昭和60年)2月の発売だったのです。この時代で忘れてはいけないのが、尾崎豊が歌った『卒業』でしょう。こちらは前述の2曲に先駆けて1985年(昭和60年)1月の発売です。発売当時は大ヒットに至らなかったものの、後々まで歌い継がれる名曲として今なお人々の心に残っています。当時はバブル経済全盛でしたが、そんな時代だからこそ「卒業」という言葉の切ない響きを世の中が求めていたのかもしれません。

◆テレビ番組の影響? 今や会社も「卒業」する時代

「卒業」という言葉は、本来、「学校の全過程を学び終えること」という意味で広く使われていました。学校を去り行くことへのやるせない心情を歌に込めることで、様々な「卒業」ソングが生まれてきました。しかし昨今ではこの「卒業」という言葉が、社会人の中でも使われ始めているようです。これはテレビ番組で使用されるフレーズを模倣して広まったという説もあります。例えば、あるテレビ番組の司会者がその番組を降板する際に、「わたくし、今日を持ちましてこの番組を“卒業”することになりました」と視聴者にお別れの挨拶をすることが多々あります。実際は様々な事情により番組を降板することになったのでしょう。ところが、卒業という婉曲な言い回しが番組内で使われることで、司会者の新しい旅立ちを番組に残る出演者が祝福しているかのようにも映るのです。

退社も「卒業」(イラスト)このテレビ番組で使用される「卒業」という言葉ですが、最近では定年退職や退社のタイミング、あるいは企業内の部署換えの際にも使われているようです。例えば、「今月を持ちまして、私は〇〇〇〇株式会社から卒業することになりました」という感じです。終身雇用が崩れ、転職が当たり前となり、早期退職制度が日常的に実施される今日では、社員が退社するケースが多々あるため、「卒業」という婉曲な表現にした方がなにかと角が立たないのでしょう。

多くの若者たちが、学校を「卒業」し社会へと巣立っていく中で、社会人も新たな場所を求めて会社を「卒業」していくのが、今の時代ともいえます。この3月は、果たしてどれほどの「卒業」に出会うことでしょうか。


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