梅雨時期になると気になるのが、外に出かける際に傘を持っていった方がよいか、どうかの判断でしょう。気候変動により天気が変わりやすい今日においても、特に6月・7月は傘の出番が多いはずです。今回は傘と日本人をテーマにお伝えしていきます。
◆鎌倉時代の絵巻物には、すでに傘が描かれていた
「日本人ほど、傘が好きな国民はいない」と言われるほど、私たちは傘を持ち歩き、頻繁に使用しているようです。欧米に旅行した際、雨がかなり降っていても傘を差さずに平気で歩いている現地の人々を見て、「なんで傘をささないんだろう?」と驚いた経験もあるはず。逆に欧米の方々にとっては、晴れている日でも、カバンに折り畳み傘を忍ばせていることもある日本人の用心深さに驚くかもしれません。では、日本人は一体、いつから傘をさすようになったのでしょうか?
歴史を紐解くと鎌倉時代の絵巻物には、かぶり笠とさし傘の両方が描かれているようです。そして平安時代末期から鎌倉時代初期の「鳥獣戯画」には、蓮の葉の柄を持った動物が描かれています。これらからすでに鎌倉時代には、かぶり笠とさし傘が使用されていたと考えられています。
時を経て、江戸時代になると街に傘屋が看板を掲げるようになりました。丈夫な番傘とともに、柄などに華美な細工を施した、漆塗りの高級な蛇の目傘も売られるようになったのです。番傘や蛇の目傘などは和傘と呼ばれ、江戸時代から明治、大正、昭和初期において、日本人にとっての雨の日の大切な日用品でした。ところが戦後になり、洋傘が普及していくと、日用品としての和傘は姿を消していきました。
◆コンパクトな折り畳み傘や安価なビニール傘は便利だけれど
洋傘は、雨をしのぐことはもちろんですが、ファッション的な要素が強いアイテムとして普及していきました。例えば、傘を専門店で誂ることや百貨店で購入することなどがステータスだった時代もあったようです。しかしながら、コンパクトな折り畳み傘や安価なビニール傘が流通していくと傘にファッション性を求める方たちも少なくなっていったようです。コンビニや駅の売店で手軽に傘が買えることは便利で喜ばしい反面、傘に対するこだわりをなくしてしまう原因となったのかもしれません。
外出中に、道行く人が傘を持っているのに、自分だけ傘を持っていないと「大丈夫かなあ?」と心配になった経験は誰でもあることでしょう。また「今日は降らないだろう…」と思って傘を持たずに外に出かけたら、急に雨が降ってきことも一度や二度の経験ではないはず。
さて本日は、傘を持ってお出かけするのがよいでしょうか。それとも傘いらずの日でしょうか。どちらか迷ったら、ぜひ傘を持ってお出かけくださいね。
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